サタンとは



サタン(Satan)の意味はギリシャ語で「敵対する者」という意味です。別名悪魔(Devil)とも言われておりまして、ギリシャ語におけるもともとの意味は「訴える者」です。この存在は神と同様に人格Person)を持つ霊的存在であり、もともとは天における天使長ルシファーであったと普通信じられています。神から与えれた自分の美しさとか能力によって高ぶり、自らを神に等しい者にしようとして神に反逆し、天から追放されました。その際天使たちの1/3が彼に追従して神に反逆し、これらの天使たちが悪霊になったものと解釈されています(注)

【注】これについては実はいくつかの解釈があります。悪霊と堕落天使を区別する考え方もありますが、これはかなりややこしい議論が必要ですので、バイブルカレッジのレクチャーをご参照ください。


天使長であったルシファーはこのようにして神の敵=サタンとなりましたから、神に対する憎悪や嫉妬で満ちております。そこで神の愛する対象である人に対しても同様の感情を抱いております。ですから神の最高作品であった人をエデンの園でそそのかして罪を犯させ、自らの支配下におき、人を自らの奴隷としてその滅びを願っているのです。

したがって罪のルーツはすべてこのサタンにあります。サタンは「この世」や私たちの「」を用いて、人を罪へと誘うことが大好きなのです。そして人がその誘惑にそそのかされて罪を犯すならば、今度は逆に人を神の前で訴える存在となります。自らが罪のルーツでありながら、罪を犯した人を神のみ前で訴えるのです。あたかも自分で罪を犯しつつ人を起訴する検事のような存在であり、その追求は過酷です。人の良心に付けこみ、人にあらゆる否定的な語りかけをして、人を神から引き離し、絶望と恐れへと陥らせます。人はその囁きを聞くならば、自己嫌悪とか自己憐憫とか罪責感で苛まれて、苦悩することになります。このようなわけでサタン悪魔(訴える者)と呼ばれているのです。

創世記において予言された通り、サタンは「女のすえ」であるイエスと過酷な死闘を演じました。イエスの誕生の時にもヘロデをそそのかして幼児虐殺をしたり、イエスを荒野で誘惑したり、パリサイ人などを用いてあらんかぎりの中傷と攻撃をしかけました。そしてついにイエスを十字架につけ、サタンはイエスに勝利したかのようでしたが、実は自らの敗北であったことを知りました。なぜならイエスは死から復活されたからです!しかもその死と復活には信じる者たちをも含むものであり、よってサタンはイエスを信じる者を憎悪するのです。彼らはイエスと完全に同一視され、神のみ前でサタンに対してイエスと同様の権威を持つ存在とされたからです。

あらゆるこの世の悪はそのルーツのすべてをサタンに負っております。この世は等しくこの悪しき者の支配下に置かれていると聖書は言っております。現在の日本を見ても、人間の尊厳が傷つき、人々が不幸と滅びへともたらされている場面を多く見る事ができます。このようなサタンの支配から脱する事のできる道はただ十字架におけるイエスの救いにあります。しかもサタンの運命はすでに定まっていて、彼は自分の運命を知っていますから、ますます焦りと共にクリスチャンに攻撃をしかけてきます。彼の運命とは神の用意された火の池であり、そこに放り込まれるまで、神はサタンの業を利用しつつ多くの人々をイエスの救いへと導いておられます。

クリスチャンに対しては、サタンは神の許容される範囲内でその悪をなすことができるだけです。その仕業もすべて神の栄光が現されるためのものに過ぎません。

(C)唐沢治

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