本日の一冊:藤巻健史著『日銀破綻』‐量的緩和の末路は?

三橋氏や藤井氏とは異なる見解の本書。実は私は最近まで藤巻ファンだった。否、今でもフォローしている。ちなみに妹さんと知遇があるためでもあるが[1]彼女もXチャン。

論は日銀による国債引き受けが終わるとき、終わると。つまり出口が見えない。確かに残る国債もすでに底を尽きつつある。品薄は価格上昇をもたらし、金利は逆ザヤ。でも、日銀が買い取るとの思惑があるから、買っている。そこで歴史的低金利。

三橋氏は国債を発行しないとデフレでアウトになるとし、藤巻氏はマネーの増加はハイパーインフレに終わると。真逆のシナリオだ。今のところ、500兆近くを日銀が吸収しても、デフレ。藤巻氏的には、ついには日銀が倒産。最後の解決策はマネーを寝かせないこと。つまりプラスチックマネー仮想通貨とドルだと。

ただ不思議なのは、企業だと倒産は二回不渡りを出すときだ。債務が焦げ付くとき。果たして、日銀の債務って何なの?B/Sの右には発行済み紙幣が100兆、当座口座などに400兆だ。借金取りに追われるべきものではないのだが・・・。

ちょっとしたきっかけで株・国債・円売りが始まると・・・。そのきっかけとは? いずれにしろ、壮大な経済実験であることは間違いない。

日銀・国債は破綻する(藤巻氏)、円建て国債が破綻するわけがない(三橋・藤井氏)と経済専門家が真っ向対立。どっちだ?現在、日銀のB/Sはかなり膨らんでいる。このままどこまで行けるのか?[2]ただし、藤巻氏は国債の発行は国民の預金によるとしているが、これは間違いだ。国債が預金を生み出すのだ。

結局、B/Sのつながりは日銀<国債/マネー>+政府<国富/国債>だから、連結で<国富/マネー>と「国債」は相殺されるものの、インフラを含めた国民の生産力(徴税力でもある)としての借方の「国富」が最後の決め手になるわけ。これとマネーが釣り合うことが必要だ。それは何か?

その能力・価値を超えてマネーが供給される(あるいは「国富」が減耗する)と、当然マネーの価値は暴落で(ハイパー)インフレ、国債も暴落で金利は高騰。高橋氏や三橋氏は一人当たりの生産性を向上すれば人口減は問題にならずと言うが、果たしてこれがどこまで伸ばせるか。藤巻氏らの懸念はそこにあるのだろう。

が、今のまま建設国債も出さないでいれば、政府の資産は摩耗して(道路や橋などの劣化)「国富」は償却されるし、デフレで国民も疲弊するから、生産力は当然落ちる。今のニッポンの生命力の減退はすでに地方に現れているわけで、国債を出して地方に援助して果たして地方がよみがえるか?それともいわゆる箱物だけが虚しく残るか?

借方の「国富」としての国民一人ひとりの生産能力の向上こそが希望であるが、これが果たして・・・だ。大衆はすでに疲弊しているし、学力も落ちている。また財務省などの一部のエリートは自分の事しか考えないしと。政治屋は無知、マスゴミはヒステリックに騒ぐだけ。かなり微妙なかじ取りの時期に来ている感じだ。

ぼくはこの点、ニッポンは外的自我(リベラル左系)と内的自我(保守右系)が葛藤しつつ、左右に激しく揺れ、分裂病の陽性症状的な経過を経て、無気力・無感動・自閉的な陰性症状化すると予想している(☞論文)。独身者の増加、新生児数の減少など(百万を切った)、要するに生命力の枯渇だ。その前に、ええじゃないか的混乱が起きる(渋谷ハロウィーンなど)。

三島は極東に空っぽにしてニュートラルな経済大国が残ると予言したが、すでにニッポンは経済大国などではないことを知るべきである。むしろ貧困国に落ちつつあるのだ。

要するに、マネーの究極の担保とは何か?が問われるのだ。

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1 彼女もXチャン。
2 ただし、藤巻氏は国債の発行は国民の預金によるとしているが、これは間違いだ。国債が預金を生み出すのだ。

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