天皇と国体というラビリンス

昨晩のNHKのこの番組、実に興味深かった。

日本の占領期の第一級史料が発見された。初代宮内庁長官として昭和天皇のそばにあった田島道治の『拝謁記』である。1949(昭和24)年から4年10か月の記録には、昭和天皇の言動が、田島との対話形式で克明に記されていた。敗戦の道義的責任を感じていた昭和天皇は、当初「情勢ガ許セバ退位トカ譲位トカイフコトモ考ヘラルヽ」としていた。さらに、1952年の独立記念式典の「おことば」で戦争への反省に言及しようとする。しかし、吉田茂首相からの要望で、最終的に敗戦への言及は削除されていく。

昭和天皇は個人としては葛藤していたのだ。統帥権なるものが軍部に利用された結果、制御できなくなっていたことは事実だろう。が、天皇自身にも未必の故意があったと思われる。結局、最終責任は蒸発したままだ。

ニッポンはお上が責任を取るはずだとして、上に上にあげてるうちに、いつの間にか蒸発してしまう国のようだ。それにしても拝謁記を見て、天皇と日本の国体ってますます分からなくなった。

東條も統帥権のゆえにと繰り返しており、彼も最終の責任者とは言えなかったようだ。昭和天皇も彼に軍部を押さえてほしかったが、時流が許さずと。対米開戦は自分の本意ではなかったと繰り返している。東條自身は天皇をかばって、国内的には自分の全責任、国際的には無罪と主張して逝った。極私的には天皇の名によって開戦の詔勅を出したのだから、当然に責任があると思うのだが。

ムッソリーニもチャウシェスクも私刑されたのだが、天皇は全国行幸されるとみんなが涙流してる。謎だ。これについては鹿嶋春平太氏がこうコメントされた:

何にも不思議はない。この方に「神が宿っている」という宿物神心情が骨の髄まで染み込んでいるから。これは創造神イメージが普及するまで、続くでしょう。

私のレス-「この方に神が宿る」って感覚そのものが謎ですねー。その「神」って何なのか?日本人の深層マトリックスがますます分からなくなりました。

天皇について鹿島氏は続けて―

明治維新以降で言うと、「みことのり」システムの形成機関。

私のレス-みことのりシステムってよくわかりませんが。昭和天皇自身は美濃部の機関説を容認していたようなのですが、大衆はそれでは困るのでしょうかね?宮沢はひっくり返って八月革命説を唱え、最期には天皇はただの「公務員」と述べ「なんらの実質的な権力をもたず、ただ内閣の指示にしたがって機械的に『めくら判』をおすだけのロボット的存在」と解説したそうです(@Wiki)。

宮沢にはGHQからの圧力があったそうだが、こう定義してくれるとむしろスッキリと理解できるのだ。ところがいわゆる保守の人々はそれは冒涜だとするむきがあるわけで・・・。結局、日本人にとっての「神」とは何か? これが問われることになると思われるのだ。とりあえずこの番組を見ての感想は-

ますます天皇と国体あるいは日本が分からなくなってしまった💦

フシギの国ニッポン、このマトリックス、ラビリンスの中で人々は、今日もまた、なぜか生きている。みんな何を求めてるのだろうか?

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