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薛濤:春望詞其四

今朝はやや蒸し暑い。そろそろ梅雨の雰囲気だ。紫陽花がまだ白い・・・。さて、薛濤の春望詞の最後。それにしてもこの一連の詩を詠んだ時、彼女の心は誰を想っていたのであろうか。まことに艶にして、女性の深淵を見る思いがする作品だ。

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那(な)んぞ堪えむ 花 枝に満つるに
翻(かえ)って両相の思ひを作(な)す
玉箸 朝鏡に垂(た)る
春風 知るや知らざるや

玉箸:美しい女の涙

満開の花が枝を飾るこのとき、この気持ちをどうして堪えることができましょう。両想いであるばかりに、かえって苦しさが増し、詩に詠うのみです。朝ごとに鏡に向かうと、ただ涙がこぼれるばかり。ああ、春風はこの愁いの気持ちを知ってくれているのでしょうか(あの人にこの気持ちを伝えてくれるでしょうか)。

薛濤は若い頃から何事も器用にこなし、紙漉きの業も会得した。さらに書家としても優れており、その紙に自作の詩を書き、自分の髪を添えて客に贈っていた。この色紙は薛濤箋として有名になり、現在も成都の名産である。この紙は雲母を含み、艶やかな上質な紙で、雲母箋とも呼ばれるそうだ。ちなみに成都は『三国志』における劉備の蜀漢の中心地であることは言うまでもない。

ファイル 3640-2.jpg

うーん、私もこのような色紙を貰ってみたいものだ。何とも妖艶なる趣きがあるではないか。

Comment

zion

クリスチャンで漢文の先生がいらっしゃるのだが、、、ここの事ご存知ないかな。

  • 2013/05/31 22:11
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