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時事ニ題

まずは局長逮捕事件。この事件、どうも良く理解できません。捜査当局の構図としては、政治家(民主党)から依頼された当時の部長が、当時の課長の村木氏に指示、それをさらにノンキャリの係長の上村氏に指示、というわけだ。そして上村氏は「村木氏よりこの件は忘れなさい」と言われたと証言し、当時の部長も「村木氏より難しい案件でした」と報告を受けたと証言。しかし村木氏は全面否認。村木氏自身も何か利益供与を受けたわけでもなさそうだとすると、政治家の鶴の一声がすべての動機となる。

で、この政治家が民主党の石井一氏なのだが、彼も全面否認。が、小沢氏の秘書逮捕に続いて、民主党に対するダメージとなることは確かだ。こういった場合、誰がもっとも得をするのか。自民だ。私的にも小沢氏にやって欲しかったが、どうも鳩山さんの「自由・平等・愛」の政治はカナリ胡散臭いわけで、民主党には「?」が付き出している。私的には政権交代(形式的にはできても、実質的な政権運営)はやや無理だろうと思い始めている。

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脳死を人間の死と認め、臓器移植の年齢制限を撤廃する法案が衆議院で可決。これははっきり言うとやや怖い。脳死は医学的な概念であり、それを法的に人間の死と定義する事自体に問題はない。それはあくまでも約束だからだ。問題はその運用。

第一に脳死の基準。いわゆる「竹内基準」なるものがあるが、最近それによって脳死とされた患者(特に幼児)が意識を取り戻したとの報告もあるようだ。

第二に誰が最終の意思決定をするのか。成人ならば自分でできる、が、子供は。もちろん家族となるだろう。しかし脳死とされても、体が温かく、成長もする子供の臓器を提供できるのか。日本人の心性からするこれは無理だろう。おそらく家族は逆に脳死の子供を守ろうとするだろう。

子供の移植の道を開いたはずのこの法律は、むしろ逆の効果をもたらすことになると私は懸念する。法律を作るのも人間、運用するのも人間、そして人間は理性ではなく、感情で動く動物だからだ。かくして今回の法案はドナーとレシピエントの間の壁を厚くするだけだろう。どちらの側も根底にあるのは生きることへの執着なのだ。この地上の生が何なのか、人は死後どうなるのか。これが解決されない限り、この問題の本質的な解決はあり得ないのだ。

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