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魔性のリーマン予想

ファイル 1131-5.jpg今晩のNHKスペシャルはすごかった。「リーマン予想」に取り憑かれた数学者たちの悲劇の運命。「フェルマーの定理」は数年前に完全に解けたのだが、こちらはまだ。2004年に解けたと宣言した数学者もいるが、まだ他者の吟味をクリアしていないようだ。ちなみに「リーマン予想」とは、素数についてリーマンが1895年に予想した定理。次のようになる:

ゼータ関数
ファイル 1131-1.jpg
の非自明なゼロ点の実部はすべて1/2上にある。つまり非自明のゼロ点を与える複素数は

ファイル 1131-2.jpg
の形である。なお、自明のゼロ点とは-2,-4,-6・・・などの負の偶数。

定理の内容自体はフェルマーの定理と同様にきわめて単純。が、証明ができない。十分性は示されているが、必要性が。現在までにコンピュータ実験により、虚部が小さい方から約15億個までの複素零点はすべてリーマン予想を満たすことが分かっているが、それはまだ有限の世界。

さらにすごいことは、素数の間隔の分布が量子のエネルギー順位の分布と同じ数式であること。一方は整数論の世界、他方は物理学の世界。その一見無関係な世界での法則が同じであること。ここから宇宙の創造の神秘の暗号が素数には埋め込まれていると、数学者も物理学者も考えているのだ。かつてピタゴラスが、宇宙は数である、と言ったが、まさにその世界。神は何かのメッセージを素数にこめているのかもしれない。

そしてもっと不思議なのは、それをわれわれの大脳が理解できると言うこと。宇宙は数学で記述できるが、なにゆえに大脳はその宇宙の言語である数学を生み出し得るのか。私的には神がア・プリオリに埋め込んだと思えるのだ。多分、私の大脳にも埋め込まれているのだろうが、それを見出すことができない。それができるのがいわゆる天才。だからわれわれ凡才も、天才の発見を追体験することはできるわけ。

しかもその素数は、現在のネットの暗号化技術の核となっている。私が20%の真のエリートを作れと言っている理由はここにもある。あとの80%はその上に乗って生きることができるのだ。

注:ゼータ関数は
ファイル 1131-3.jpg
とも書ける。なぜなら
ファイル 1131-4.jpg
の積を展開すれば容易に分かるとおり、素数の積からすべての整数が作られるからだ。

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