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Dr.Lukeな一日

午前中、下に書いたようなうれしいメールをいただき、励まされました。「人が神になるや否や」といったアホらしい議論には与する時間も気力もありませんが、主は時にこうしたシンプルな信仰に対する応えをプレゼントして下さるのです。

ファイル 219-1.jpgランチをチネチッタで取りつつ、また映画。何しろタダ券がかなりたまっておりまして、ウイークデイは予約も不要ですので、タダで見放題。作品はペ・ヨンジュンの『太王四神記』。韓国のテレビドラマの映画化らしく、本日のは第10話(→ストーリー)。ただし下調べがなかったので、話がさっぱり。そして何より驚いたのはおばさんばっかりだったこと!?いやあ、驚きました。韓流スター・ヨン様の人気は依然として衰えてはおりません。確かに彼は顔の個々のパーツは大したことはないのだが、全体的に独特の気品を醸している。

何を隠そうこの私めも韓国の若い姉妹たちに、韓国の何とか言う俳優に似ていると言われているのだが、鏡を見てもハリウッド系ではあり得ず、まあ韓国系の顔かも知れないと納得している次第。そしたら本日怪しげなスパムメールが入っておりまして、こう書いてありました。

はじめまして。国川のぞみといいます。Kさん経由で貴方の事は知りました。実に韓流スターっぽい男性ですね。Kさんに貴方の写真も見せていただきましたが、確かに韓流っぽい顔でした。自分でも韓流スターっぽいと自覚してますよね?
 お願いがあります。実は、私は韓流ファンの女性から構成されるサークルを作って、インターネット上で積極的に活動もしています。どうかここに参加していただけないでしょうか?韓流っぽい貴方が加わると、非常に盛り上がると感じています。どうか宜しくお願いします。では、失礼します。

はあ?何じゃこれ・・・?

ファイル 219-2.jpgそして購入したCDがEliane Elias&Bill Evansの競演作品の"Something for You"。ピアノとヴォーカルのコラボが実に気持ちの良い一枚。しばらく楽しめる。

で、午後は6時までずっと温泉Spa Libur Yokohamaにて。4,5時間も温泉で何するのか?はい、何種類もの温泉やサウナを楽しみます。雨の中の露天風呂もかなりオツなもの。また岩盤浴も気持ちイイ。で、ビュッフェにてプチケーキとアロエジュースを楽しみつつ、『文藝春秋3月号』を。芥川賞作品が掲載されているわけ。若干31歳の川上未映子氏の『乳と卵』。貧乏の中で本もほとんどない環境に育つも、世と死に対する感受性が相当に鋭かったらしく、歯科でのバイトや本屋の店員、さらにホステスの後、歌手としてデビューするも売れず。Blogの文章が編集者の目に留まり、昨年『わたくし率 イン 歯ー、または世界』で芥川賞候補となり、二作目の本作品で受賞と言う経歴の人。

女性の体に入っている自己意識の流れを、女性性を通して、長い大阪弁の文章で表現している。ストーリー的には豊胸手術を受けるべく上京した母と娘と、母の姉の3日間の三人の絡み。川上氏は体に閉じ込められた自分と言う意識を若い頃からいだいたらしく、これは私たちクリスチャンにとっても同じ。肉体は地上の幕屋なのだ。しかも彼女は女性の体を巡る性徴から生を描いている。文章は饒舌で長く、句読点の打ち方も変則。しかし面白い。が、そこに生の切なさが混じる。多分に性の受け止め方も男と女では異なるのだ。男は即物的。しかし女性はいのちを与り、地上へともたらす役割を負う分、生と性が一体となる。彼女の表現―

生理になるのは卵子が受精しなかったからで、ほんまは受け止めて育てるために準備されたクッションみたいなものが血と一緒に流れるから。・・・そしたら受精をしてない無精卵、が、血の中にあるのかと思って、・・・見たらしい。・・・ナプキンの中には細かい細かい粒粒があるらしくてそのいっこいっこが血をすってぐちゅぐちゅしてゼリーみたいになってて、そういうわけで無精卵があるのかどうかはどんあけよう見てもわからんかったらしい。

何とも匂いまでも感じられるほどの生のリアリティが感じられる。が、山崎豊子の作品が好みの私としてはこういった作品が芥川賞になるのがやや理解し難い。事実、選考委員の石原慎太郎氏も

今回の候補作を通じていえることは素材の軽さと言うか、生活の無為性、無劇の劇性というべきものだろうか・・・川上未映子氏の『乳と卵』を私はまったく認めなかった。・・・一人勝手な調子に乗ってのお喋りは私には不快でただ聞き苦しい。この作品を評価しなかったということで私が将来慙愧することはおそらくあり得まい。

と彼らしい辛辣な評を下している。まあ、私もほぼ同意か・・・。

人間の生は本質的に不条理なわけで、生まれたくて生まれたわけでなく、死にたくて死ぬわけでなし。自分の体と精神も、自分でオーダーメイドしたわけでもない。この誕生の死との間を延々と自分に付与された能力で生き延びること―これが人生。そこに人と人との絡みが生まれ、時に愛し合い、時に傷つけ合う・・・。と、私のビデオでは字幕が入るのだが、川上氏も同じ問題意識を抱いていることはよく分かった。その表現の手法が私たちサイエンティストとはかなり異なるだけなのだ。

・・・以上、冬眠生活に入ったDr.Luke的な一日・・・。

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