芸術な一日

内海先生の『潑墨山水画の宇宙と自然』と題する、美術史学者佐藤康宏東大教授との対談。いつもながらの迫力のある内海氏のテクスチャー系の作品。この一見無秩序・混沌の中にある種の秩序、あるいは宇宙の自己組織性を見出すことができる。これは自然科学系の私にとっても大変興味深い。

実はカオスの理論によれば、本質的に必然と偶然を区別することはできない。必然から偶然を創り出すことができる。逆も言える。つまりキリスト教神学の「カルバンVSアルミニウス」の対立などは元よりナンセンス。これはずっと以前に再建主義者との議論したときに指摘した。東洋的には、一見対立する老子(偶然系)と孔子(必然系)も、実はコインの裏表みたいなものかもしれない。

しかし、ある意味で内海氏は作品を生み出すために命を懸けているわけで、創造に賭ける芸術家の労力の大きさ、あるいは痛み、あるいはもっと言えば傷を感じる作品である。傷から絞り出されたでも言うべき感覚か。いわゆる「見返り」はあまり期待できないにも関わらず、だ。純粋なクオリアの追及。

表面上は軽妙なトークであったが、それが軽妙であればあるほどに、ある種の深い領域での生の痛みとでも言うべき感覚を覚えた。これは私の思い過ごしかもしれないが・・・・。この作品創りに対するモチベーションとエネルギーが何に由来するのか、極私的には実に興味があるところだ。まことに芸術はオン・ザ・エッヂ、実にきわどいバランスによって成り立っている。

その後、古い友人たちと神田にて会食。嗚呼、みんな腹が出てしまって、タイムスリップ感がハンパない。人生、何にエネルギーを注ぎ出すか、その選択が人生の内実を決定するのだ。まあ、人生そのものがある意味で芸術活動と言えるわけで。最後の写真は某カフェの壁画。あの城戸真亜子氏の作品とか。

・・・と言うわけで芸術三昧の一日でありました。で、ちょっとDr.Luke的芸術論を―

・芸術も人生も波動のコンボリューション(http://www.dr-luke.com/diarypro/archives/435.html
・絵画と音楽と数学と(Dr.Luke的芸術論)(http://www.dr-luke.com/diarypro/archives/434.html

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