マネーの本質的理解の時代へ

この記事はいよいよだと言う感じがする。

マネーの本質は債権債務証書。それ自体には何も価値がない。一万円札の原価は30円だ。つまり、その「10,000円」という数字は、その裏に債権と債務の裏書があるから(目には見えないが)、その価値を保つだけ。つまり本質は情報なのだ。ゆえに別に紙幣に記録する必要もない。デジタル媒体で良いのだ。

化石的オツムの持ち主は「マネーは量が限られているから価値がある」と思い込んでいる。それはちょうど「ゴールドやダイヤの量が少ないから、それらに価値が生じる」と考えるのと同じ。これを金属貨幣論と呼び、それを唱えたアダム・スミスを揶揄して「アダムの罪」と呼ぶ。

この債権と債務の関係の連鎖を辿ると、最終的には日銀の債務に行き着く。発行済み紙幣は110兆。日本国の資産は5,6千兆。それはすべて信用創造により膨れた分であり、現ナマはない! 単なる通帳の数字だ。そしてマネーはそもそも日銀の負債、借金である。しかも誰も返済の必要を訴えないであろう。

日銀が紙幣を刷る以外に発行するマネー-ただし紙幣ではなく日銀当座預金だが-は現在約400兆。これは市中銀行から国債を買い上げた代金である。問題はこれが滞留しており、社会に流れ出ていないこと。当たり前だ、これは民間がおろせる預金ではなく、政府が財政出動するときにはじめて民間に流れ出るのだから。金融政策だけを主張し、いわゆるトリクルダウンを唱えたリフレ派の誤りはここにある。

最終的に国債(マネー)を担保するものは何か。国富である。これはインフラも国の徴税権も含むが、最も本質的なのは民力だ。三橋氏の言い方であれば、供給力。つまり新しい価値を生み出す力だ。いつもの例だが、小学生に1億与えても紙飛行機になるだけだろうが(マネーの価値がない=ハイパーインフレ)、東大生に与えれば何らかの新しい価値を生み出す。この左と右のバランスがカギなのだ[1] … Continue reading

しかも国債を政府から日銀が買い取れば、国債はマネー(日銀の政府当座口座)となる。要するに国債の発行はマネーの発行と等価なのだ。

MMTについては主流派経済学者(彼らは実は複式簿記も知らないらしい)からボロクソに言われてきたが、ここへきて風向きが変わりつつある。

マネーの本質が分かれば、MMTは単なるファクトを述べているだけと分かるはず。右とか左は関係ないのだ。ちなみに国債発行で財政投資する場合の会計上の処理は次の通り(再掲)。

コロナ禍は確かに大変なものであるが、一方でマネーの本質を理解するための契機を与えてくれたとも言える。緊縮財政を金科玉条としてきた財務省も75兆の新規国債の発行を余儀なくされた。これで金利はまったく動いていない。要するにハイパーインフレやザイセイハターンなどは起こり得ないのだ。

現状は栄養失調で体重が30キロの飢餓状態の患者だ(デフレ)。今必要なのは輸血あるいは輸液あるいは栄養注入である。すなわちマネーの供給。それも金融緩和だけではなく、実体経済を動かす財政出動による。こんな患者に対して肥満(ハイパーインフレ)を心配するアホな医者はいない。あるいは一時は輸血しても、後で抜いて返してもらうとか(コロナ増税)、愚かなこともしないであろう。

繰り返すが、世(コスモス)は人生ゲーム。その盤面においては常に

<政府収支>+<民間収支>+<海外収支>=0

海外がほぼ±ゼロとしたら、政府の黒字(PB黒字化)は民間の赤字(デフレ)だ。民間が潤うためには・・・言うまでもないであろう。これは算数の問題。財務省は算数が分からない、あるいは分かっていて、国民を欺いている。シッタカオヤジの池上なんぞの言うことを真に受けて、子孫に負債を残さないために、自分たちが節約だ~、増税やむなし~、と言って、餓死しつつあるのが現状。経済はある場面を取ればゼロサムゲーム。椅子取りゲームである。

矢沢は「カネは便利がいいが、それだけでハッピーにはなれない」と喝破した。なぜ? マネーは誰かの債務だからだ。自分の債権の裏には債務を負ってる人々がいるからだ。自分の手の中の一万円札がどのようにして自分のところに来たのか、ちょっと考えてみると良い。人々の苦渋の表情が浮かぶかな? が、あるに越したことはない。きよく・まずしく~といったニッポンキリスト教は・・・以下略。

コロナのPCR検査の読み方なども同じだが、リテラシーがあまりにも欠如している。その無知に付け込まれて自滅しつつあるのだ。今、マネーの本質に覚醒できるかどうか。これが未来を決める。

わたしの民は知識がないので滅ぼされる。-Hos 4:6

偽る物のしるしをむなしくし、占う者を狂わせ、賢い者をうしろに退けて、その知識を愚かにする。-Isa 44:25

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1 問題は緊縮財政で疲弊し、国力つまり供給力が摩耗することにより、ハイパーインフレが起き得ること。つまり緊縮財政論者の自己予言成就となるのだ。現に、今の若者の貧困化はかなり深刻である(→若者に貧困を強いる国、日本──貧困世代と求人詐欺)。彼らはハケンやUber Eatsに身を売ることによってかろうじて食つなぐ。それは技術や知識などの資産の継承を不可能にする。

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