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Dr.Lukeの一言映画評

ファイル 1018-1.jpg私の従兄弟(*)であるところの唐沢寿明主演の『20世紀少年最終章僕らの旗』。コミックは22巻+2巻だったと思うが、2年ほど前に読了した。その映画化として、期待していた最終章。うーん、なかなかイイ。"ともだち"の正体は?、という単純な興味だけではなく、最後の10分間にホントの意味でのカタルシスの場面を置いたのが、作品に深みを増した。

しかし、いたよな、こういった存在感のほとんどない同級生。イジメられっ子とイジメっ子は実は同じ病理を有しているが(たまたまの力学で役割が決まるだけ)、イジメの対象にもならなかった子が。名簿を見ても顔がサッパリ浮かばない子が。お面をつけているかのように、いつも私たちの背後にいて、「ケーンジ君、遊びましょ」とか細い声でつぶやいている子が。そんな切ない心理描写もよくできていた。

この作品のキャラの名前が懐かしいマンガのキャラのパクリなのだが、ケンジが最後に歌う「ボブ・レノン(別名:カレーライスの歌)」がなかなかだった。ケンジの名前"遠藤ケンジ"はボブ・ディラン大好きのフォーク歌手"遠藤賢司"のパクリなわけで、彼の持ち歌は「カレーライスの歌」だった。しかしこの歌、まったりと脱力モードで私的にはとても好みだ。

映画の中で宗教にハマッて「宇宙とひとつになる!」とか叫び出す御仁が登場するが、クリスチャンも「人が神になる!」とか、あまりこういったことに熱を入れ、真剣になるのはよろしくない。現ニッポンキリスト教のヒステリー現象も、このケンジの「ボブ・レノン」でも聴いてオツムをクールダウンされたらいかがであろうか。何事であれニンゲンが真剣になることは実はかなり怖いこと。それが悪であれ、正義であれ、同じなのだ(正義の方がヨリ怖いかも)。ちなみにケンジの台詞、「悪になることは、正義になることより大変だ」はけだし名言だ。

何気な当たり前の生活、ナンセンスとも思える歌詞だが、カレーライスの匂いがプーーンとする力の抜けた夕暮れ時の雰囲気をよく醸している。実に好きだなあ~、わがアイドリング生活に実にフィットしている。シアワセの鍵は脱力にあるのだ。

日が暮れてどこからかカレーの匂いがしてる
どれだけ歩いたら家にたどりつけるかな
ぼくのお気に入りの肉屋のコロッケは
いつもどおりの味で待っててくれるかな
地球の上に夜が来る、ぼくは今家路を急ぐ

来年のことを言うと鬼が笑うっていうなら
笑いたいだけ笑わせてとけばいい
ぼくは言い続けるよ、5年先、10年先のことを
50年後もキミとこうしているだろうと
地球の上の夜が来る、ぼくは今家路を急ぐ

雨が降っても、嵐が来ても、ヤリが降ろうとも
みんな家に帰ろう邪魔はさせない、誰にも留める権利なんかない

地球の上に夜が来る、ぼくは今家路を急ぐ
世界中に夜が来る、世界中が家路を急ぐ
そんな毎日がキミの周りでずっとずっと続きますように
グ~タラ~ラ ス~ダララ~・・・

(*)一応お断りしますが、ネタですからね。学生に言うとこれがマジ受けするのだ。まあ、自分でも何気に似ているとは思っているが^^

Youtubeを貼っておきます:

追記:最近、ボブ・ディランが路上で警官から職質されて、「オレはボブ・ディランだ」と答えたものの、その警官は彼をまったく知らなかったらしい。時代は流れるわけで・・・。寂しい。

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