Entry

トップ > 告知 > jomonism

jomonism

縄文文化の芸術性の高さはよく知られている。その造形の美が生まれた理由は、当時は食べるに困ることがなかったからだ。ファイル 1046-1.jpg私の小学校以来の友人石埜穂高君のことはすでに紹介している。彼の編集した著書は岩波ジュニア文庫から出ている(注)。彼は実に多彩で、コピーライターとしては銀座カリーのパッケージの「物語」を連載中。考古学や文化人類学・民俗学などにも造詣が深く、故郷の遺跡の発掘や、諏訪の考古学美術館のサイトなども作っている。またプランナーとして出雲にて「立て御柱」を企画したり、青森の三内遺跡の世界文化遺産登録に向けて力を貸している。

注:Saltさん宛に、彼の父上から直筆のサイン本をもらってきましたよ^^後ほどお送りします。

その彼によると縄文時代の、たとえば諏訪では、どんぐりやくりなどの木の実が落ちる時期には、ほぼ1年分のカロリーを採取することができたのだそうだ。つまり縄文人は1ヶ月程度の労働で1年間食べていた。ファイル 1046-2.jpgしかも縄文時代の料理のレシピは、木の実のクッキーや鹿肉のステーキなど、かなりのグルメだったのだ。しかもここでも何度も書いている通り、物理的寿命は短くとも、主観的時間はきわめて長かったのだ。

つまり彼らはそのような豊かな生活の中であの縄文土器を製作していた。いわゆる機能性からすると無駄なデザインであり、これは弥生時代の土器と対照的。縄文時代は稲作が行われておらず、自然の恵みを採取する文化だったが、その方が実ははるかに豊かだったのだ。弥生時代になって稲作が入り、米の美味さを知るようになって農耕の忙しさをも知るようになったわけだ。労働に追われる状態。貯蔵のための実用的な土器が主流となり、縄文時代の芸術性は失した。しかも土地や労働力を巡って争いが生じるようになった。これで縄文時代の豊かさも失った。いわゆるGDP的な物差しで計れば弥生時代のほうが豊かなのだが、その物差しはかならずしも人間の幸福を測定するのにふさわしくない。

これと同じことが現代も起きている。アメリカのイナゴ式経済活動(食い潰すだけの経済行動)により、ニッポンもそろそろ食い潰されつつあるが、ニッポン人はGDP信仰を植えつけられて、アメリカの価値観に沿ってここまでやられたわけだ。この意味で石埜君は、ニッポンはすでにGDP型経済では立ち行かないフェーズを迎えているゆえに、新しいパラダイムを必要とする、と訴える。

ファイル 1046-3.jpgそれがすなわち縄文文化的価値観、名づけて"jomonism"(石油会社のJOMOではありません!)。すでにNPO法人の申請を出し、サイトも立ち上がっており、イベントも行われています。今後も故郷の諏訪の町興しもかねて、現地の神社などでレイブを開催したり致します。レイブはノリピーで印象が悪くなっていますが、もちろんドラッグはなし、ややトランス系の縄文系CG&musicで天然のモルフィネ(β-エンドルフィン)やセロトニンを分泌する企画を考えるわけです。

⇒SaltさんとDJ.Jerryもぜひよろしく♪

特に若者がGDP信仰の物差しで計られて居場所を喪失しつつある現代ニッポンに、実は今われわれが経験している以上のはるかに豊かな文化が、元々あったことを知ってもらいたいわけです。あなたが無意識に採用している(あるいは、させられている)ソノ"物差し"を捨てよ、さらば自由とならん!

・・・と言うわけで、今回の3次会で例年通りいろいろと意見交換をして、私も彼の発案に賛同。Dr.Lukeも「林住期」を迎えて、これからいろいろと「縄文イズム(jomonism)」に関わるつもりです。皆さん、特に息詰まっている方々、ちょっと立ち止まって縄文人の豊かさを味わってみませんか?

NPO法人jomonism(→http://www.jomonism.org/)

追記:写真は縄文中期の尖石遺跡(1月撮影@茅野市)

ファイル 1046-4.jpgファイル 1046-5.jpg

Comment

Salt

jomonism面白いですね。

縄文を芸術として世に認識させたのは、かの岡本太郎ですが、三内遺跡が発見させるよりもずっと前のことですよね。

「人類には進歩も調和もない」と宣言して、太陽の塔を作った彼の感性とエネルギーは結構好きです。

Lukeさんが関わられるなら、私にも出来ることがあれば声をかけてください。

貴重なサイン本もありがとうございます。楽しみに待ってます。

  • 2009/09/22 18:27
  • Edit

zion

  • 2009/09/22 20:17
  • Edit

DJ Jerry

こんばんは。レイヴと言えば石野卓球ですが、今回はそれとはちょっと趣がちがうようですね。いずれにしても興味津々、楽しそうですね。僕はDJでもラジオで喋るDJなので、ターンテーブルは回したことがありません。が、MCなど何かでお役に立てたらハッピーです。僕に出来ることがあったら是非、協力させて下さい。各メディアへのPRはどうするのでしょうか?何がしかのメディアが取材した方がいいのであれば、何人か媒体に知り合いがいますので、そちらの方面でもご協力できると思います。あと、UCLA時代の友人が映像をやっていますので、ドキュメンタリーなどの制作も可能かと思います(^_^)/~

  • 2009/09/22 22:54
  • Edit
Access: /Yesterday: /Today: