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統合失調国家ニッポン

ファイル 1149-1.jpgSAPIO』今月号の特集は「日本人を精神分析!」だ。臨床医やマスコミ論の専門家、そして『ものぐさ精神分析』で一世を風靡した岸田秀氏の論が披露されている。現代ニッポンの国民病とも言うべきうつ病が増加、年間3万人以上で自殺は先進国NO.1であることはここでも何度も触れている。その理由をしてある臨床医は日本人の「メランコリー親和型心理」だと指摘する。何と昨日の浅野の病理ではござらんか。つまり浅野はある意味典型的な日本人と言えるのだ。

そしてやはり一番面白いのが岸田氏の論。彼は臨床医ではないが、臨床に縛られない分、実に自由闊達な論を展開する。(ちなみにあのユング派の分析医として有名な河合隼雄氏は京大の理学部数学科卒である。)で、岸田氏の唱える内的自己と外的自己の分裂によるニッポンの病理について私も書いているので、こちら(→「君が代・日の丸に思う-分裂した自我の背後に蠢くもの」)を見てもらいたいが、要するにペリーによる暴力的開国で"レイプ"された日本は、武士道や恐怖や怒りなどの真の感情などを内的自己の内に抑圧し、外的自己は富国強兵、欧米化にまい進した。国力が強くなると内的自己が噴出して欧米に戦争をしかけるも、その自我は外的世界とのまともな関係が持ち得ないために、状況判断や行動が幻想的なものとなり、最後は一億玉砕の妄想的世界に突き進んだ。これを終わらせたのが原爆。

これで再び戦前の価値観などをすべて抑圧し(内的自己)、戦後は経済復興で再び世界ナンバーワンとなり、ロックフェラービルを買収するなどしたが(外的自己)、アメリカの対日政策によってバブル崩壊。これでニッポン人はアイデンティティを喪失し、現在の迷走状態になっているわけ。私は日本はアメリカにより3回の去勢を受けていると言っている。<開国=政治文化的去勢>、<敗戦=軍事的去勢>、<バブル崩壊=経済的去勢>。かくして自立した主権国家たり得ないのがわが国であり、これまで対米依存でしのいできたわけだ。

ところが、先に京大の中西教授の説を紹介したが、団塊の世代の鳩様や菅様の心(抑圧された内的自我)の底には米に対して忸怩たるものが蠢いている。これが彼らをして、アメリカとは対等の自主自立した外交を、と不自然に叫ばしめるわけだが、中西教授が指摘するとおり、世界のパワーバランスを一切考慮に入れていない。なにしろ彼らの対応は、彼らの脳内現実によるのであって、まったく現実原則に即していない。私が「脳内空転内閣」と揶揄する所以である。かくして対米関係はギクシャク。アメリカら見れば何をやっているのか理解不能だろう。この点は政治学的観点から『SAPIO』の記事でも論じられている。

岸田氏もこのような現実感を喪失した民主党の病理は、かつての軍部の病理と同一であると言う。かつての軍部も情報分析や客観的状況分析はめちゃめちゃ。とにかく大和魂で玉砕だと、分裂病的幻想・妄想の極地に至ったのだ。同じ事を繰り返しているのだ。これを強迫反復と言うが、現代のニッポンはそのヴァーチャル化した分裂病の病理がますます深くなっているのだ。私はかつて『リバイバル新聞』の谷口社長から、今後のニッポンがどうなるかと聞かれて、「外的自己と内的自己の振幅がますます大きくなり、社会は右に左にと不安定化し、かつバーチャル現象化し、ついには分裂病の末期症状である陰性症状(無気力・感情の平板化・引き篭もりなど)を呈するでしょう」と答えた。それはエネルギーの流動の停止したエントロピーの拡散の極地。フラット化社会。経済的には死に至る病デフレ。まさにこのとおりになりつつある。

ちなみにニッポンキリスト教は・・・もはやそれなりの視力の人には、言わずもがなご理解いただけていると思います。そこは病理現象の坩堝、人生を楽しみたい人はエクソダスあるのみをお勧めする次第でございます。

Comment

ISAIAH BEN HUR

最近の状況、まことにおっしゃるとおりと感じます。病んでいるんですね、この世界。私たちは病んだ人たちを相手にしているんだと認識を改めると、わけの分からない事態が、なるほどと合点がいくことが不思議です。

  • 2009/11/27 20:03
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zion

菅さん、、、
ソーラーパネルで景気回復?ソーラー絵ソーラーごと。
エコ疲れ(憑かれ)のエコイスト、ニッポン。

  • 2009/11/27 23:05
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エシュコル

キリスト教界からエクソダス出来ても、ニッポンからはエクソダス出来ないし、やはり主キリストに頼る以外に無い訳ですな。

  • 2009/11/27 23:22
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