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Dr.Lukeの一言映画評と本日の一枚

ファイル 1216-1.jpgご存知マイケル・ムーアの『キャピタリズム-マネーは踊る』。いわゆる新自由主義的経済運営のルーツであるハイエクフリードマンの理論を、レーガンが「レーガノミクス」として政策化した80年代から話が始まる。世界で自由と平等による反映をもっとも謳歌したアメリカが、何ゆえに現在のように1%の人々が国富の50%を占めるような異常な状態に立ち至ったのか。サブプラ問題で家を取り上げる銀行をムーアは告発し、オバマが行った公的資金の金融機関への注入を詐欺として糾弾する。しかし彼は最後に音を上げるのだ、「もうこれ以上は自分ひとりではできない。観客の皆さんもできるだけ早く動いて下さい」と。

確かに映像によるアメリカの現状は悲惨だ。失業率は10%を超え、かつての栄光はすでにない。1%の金持ちと貧困にあえぐ大衆の構図。ルーズベルトはいわゆる4つの自由、すなわち、言論の自由、宗教の自由、欠乏からの自由、恐怖からの自由、を提唱したが、それを具体的に実現する前に死去した彼が生きていたら、現在のアメリカはこうではなったろうと、ムーアは嘆く。

私はすでに何度もアメリカは二重構造であると指摘しているが、実はピープルによる、ピープルのための、ピープルの政治は幻想なのだ。それがないからあえて主張しなくてはならない。あたかも在日系の似非右翼の人々がこれ見よがしに日の丸を掲げて情宣運動する様と同じなのだ。「愛、アイ、あい」とヒステリックに叫ぶニッポンキリスト教には実は愛はない。「正義、セイギ、せいぎ」と叫ぶ人々にも正義はない。株の必勝法はコレだ、と叫ぶ人は儲けていない。真に儲ける人は黙っているものだ。

かくしてアメリカの真相に流れる闇と病み。2000年代の10年間は"911"やリーマンショックが象徴するように、その闇と病みが表に出た。2010年からの10年間はおそらくモロにそれが大手を振るようになるだろう。昨日のMSGでも語ったが、リアルとヴァーチャルの境目が折り返しになって、逆転現象が起きる倒錯の時代である。

参考:Last Trumpet Newsletter January 2010 by David J. Meyer

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ファイル 1216-2.jpg本日の一枚はALICIA KEYSの"The Element of Freedom"。前に"As I Am"を紹介したが、これは全世界で600万枚売れた。今回のアルバムもR&Bのリズムと高音が抜けるヴォイスが素晴らしい。

幼少期からピアノを学んでおり、ライヴ時にはピアノの弾き語りをみせるアメリカのシンガー・ソングライター。ソングライティング、歌唱力、演奏力、ビジュアルどこをとっても非の打ち所のない才媛。とくに絶妙に感情をコントロールし、ソウルフルな雰囲気を創り出す彼女のヴォーカル・ワークは秀逸。歌っているときの彼女は神がかり的なものを感じてしまうほどの存在感を放つ。

しかし、ビヨンセなども言えるが、黒人と白人のハーフは芸術的なほどに実に美しい。

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