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Dr.Lukeの一言映画評

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午前のプール&サウナ、午後の映画と巡航モード。朝に「終わりの時代を生きる」と一言書いたが、映画はいわば「終わった時代を生きる」がテーマ。私の好きなデンゼル・ワシントンの『ザ・ウォーカー』。直訳すれば「歩く者」だが、「寄留の旅人」とでも訳せるだろうか。原作は"The Book of Eli"。この主人公が何ともナイフとマーシャルアーツと銃と弓の達人。雰囲気的には任務に忠実なGOLGO13あるいは座頭市と似ているのだ。これ以上はネタバレになるので。

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ストーリーは、核戦争で滅んだ世界、生き延びた人類が教育もモラルも喪失する中で、ただひとり30年間、ひたすら西へ西へと神の声に従って一冊のザ・ブックを運ぶ男イーライ(Eli)が巻き込まれる事件を描く。このザ・ブックには大衆をコントロールし得るパワーがあると信じ込む独裁者カーネギーはそれを手に入れようとイーライを執拗に追う。途中、イーライに助けれたソラーラがザ・ブックの感化を受けて知性に目覚めていく。ザ・ブックを自らの支配力強化のために用いんとするカーネギー、ザ・ブックを形式的に理解していたことに気がつき、それを実行するイーライ。なかなかこの辺は私たちにとっても示唆に富む。ザ・ブックが世界を終わらせ、「終わった時代」の唯一の希望が、実はザ・ブックなのだが、果たしてそのザ・ブックとは?

ファイル 1383-3.jpgデンゼル・ワシントンの冴えたアクションは新鮮だったが、やや狂気の入ったカーネギー役のゲイリー・オールドマンも渋く光る。彼は『エアフォース・ワン』でロシアの狂ったテロリストを公演して印象に残ったが、この手の役はまさにはまり役。ファイル 1383-2.jpgそして何とも魅力的だったのが、第二のアンジェリーナ・ジョリーと言われるキエフ出身のミラ・クニス。その厚ぼったい下唇や雰囲気はまさにアンジーだ。

映像はやや『300』や『シンシティ』的。何とも言えない退廃感を醸す。しかし最後のイーライの言葉は、まさにあの言葉ではないか。私たちもある意味でザ・ウォーカーであり、イーライなのだ。・・・が、ニッポン人にはちょっと理解し難いと思う(→このテの物語を受け入れる素養がない

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