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日高レポートに思う

日高義樹のワシントン・レポート、新年恒例のキッシンジャーによる2008年の10の予想。これくらいなら私でもできるぞと思いつつ、気になった点をいくつか。

アメリカが日本の頭越しに北朝鮮と中国と直接の関わりを持ち始めている点。ブッシュはジョンイルに親書まで送っている。核の数の確認ができれば、2008年中にライスが北を訪問することもあり得るとのこと。またアジアを中国に任せてもよいと考え始めているらしい。キッシンジャーは日本の頭越しではないと言っていたが、これはホンネではないでしょう。ロシアのプーチンも再度の冷戦を目論んではおらず、また中国も世界制覇を意図していないとのことだから、日本の地政学的意義が失われる。

また安倍氏の挫折もアメリカの関与しないことだと言っているが、これもどうだか・・・。安倍氏は憲法改正の向こうに核保持までも視野に入れていたようだが、これはアメリカの利益に反する。自分の思いのままになった対象はその意義を失ってしまうのだ。アメリカにとってあらゆる面で日本の意義が失われつつあることは明白。

さらにサンデープロジェクトでもレポされていたが、日本は環境問題で個々の優れた技術は持ちながらも、全体的フレームあるいはスキームを構築する事ができず、どうもアメリカとヨーロッパの思惑に嵌められているらしい。個々の技術ではなくフレーム/スキームを構築した者が勝つことはVHSとβの規格争いでも証明されている。フレーム/スキームが構築できない日本はまた環境問題でも遅れを取り、単にその技術を利用されるだけになりそうな気配だ。

経済的にもBricsが伸びてきているし、今後ドルが価値を失う中でアメリカのカーボンコピーである日本の存在意義も薄くなる。かくしてアジアでの覇権は日本の手を離れるのだろうか。しかし一方でキッシンジャーは10年後日本は軍事的に大きなパワーを持つとも予測する。どうも彼の予測を聞いていると、アメリカの思惑の表の裏の解離性が感じられるのだが・・・。今こそ日本は環境問題も含めてあらゆる面で明確なアイデンティティとヴィジョンを主張しないと、ほとんど世界から相手にされなくなる瀬戸際にあるのだ。

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