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続医療の崩壊

昨日スーパードクターたちがニッポンの医療について政治家たちと議論する番組があった。脳外科の"神の手"を持つ福島先生、同じく川上先生、さらに心臓外科の南淵先生。彼らが言うにはニッポンの医療はすでに崩壊寸前であると。政府は医療費削減で病院経営はもう立ち行かない瀬戸際に来ている。医療費の対GNP比は諸外国の10%以上に比べて、ニッポンはわずか8%で先進国の中でも最低。かつてサッチャー政権の下で英国の医療が崩壊した時期があったが、それと同じモードに入っている・・・。

と言った主張を臨床の現場からするのだが、政治家たちの危機意識の乏しいこと。議論がまったく宙に浮いている。ここでも何度も指摘しているが、医師の"高収入"を羨み(実はそんなに高収入ではない!勤務医ならせいぜい一千数百万程度)、医療ミスを民事で訴えること、さらには刑事告訴までし、逮捕者まで出ている昨今。ここでも"正義"のはき違いをした大衆は自らその刈り取りをするだけなのだ。最近でも事故で重傷を負った人が9箇所の救急病院に受け入れを拒否され死亡した。それは医師や病院の責任?違うでしょう。誰もリスクのある者に関わりたくないもの。これは教会でも同じだと前にも指摘した。妄想を持ったり、"声"を聴いたり、逆恨みをするような人物には、彼らに適したそれなりの場に行ってもらいたいのだ。

かくしてここでも専門家を引きずり下ろして、フラット化する力が働く。その中で現場の医師は必死に耐え忍んでいる。が、すでに臨界点に来ているのだ。英国でも収入を減らされ、激務を要求され、果ては裁判に引きずり出された医師たちが士気を失い、医療は崩壊した。果たしてニッポンはこの事態から守られるのであろうか?最も本質的には医師という立場や収入に対する大衆の嫉妬や妬みが潜んでいるのだ。愚かなものだ、大衆は。

専門家を専門家としてしかるべく遇すること。ここでも「籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を作る人」の原則を無視することはできない。今のニッポンはみんなで平等に草鞋を作る大衆を生み出しているだけなのだ。かつての中国での文化大革命を見てみよ。毛のスローガンで扇動された愚かな大衆が医師や学者や教師を糾弾し、彼らを粛清した後に残った社会を思い出してみよ。幼児的幻想に生きている大衆よ、そして彼らに媚びる政治家たちよ、そろそろ目を覚ますべき時でしょう、手遅れにならないうちに!

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