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Dr.Lukeの一言映画評

ファイル 1737-1.jpgカトリーヌ・ドヌーブの『しあわせの雨傘』。うん、どこかで聞いたことがある。そう、『シェルブールの雨傘』(64年)もドヌーブだった。恋人と戦争によって引き裂かれ、別々の運命を歩む男と女の悲劇的ラブロマンス。最後に再開する時、女が言う、「この子は・・・」と。同じモチーフの作品として『パールハーバー』(01年)がある。

しかし今回はかなり趣を異にする。原題は"potiche(ポティッシュ)"、すなわち「飾り壷」。アイデンティティを持たない女のこと。舞台は70年代フランスの地方都市。毎朝ジョギング、森の動物たちの愛らしい仕草に心を打たれては趣味のポエム作りに生かす優雅なブルジョワ主婦スザンヌ。仕事への口出しも家事もするな、妻はただ美しくおとなしくしていればいいが持論の夫ロベールは雨傘工場のワンマン経営者だ。その何一つ不自由のないブルジョアのドヌーブが会社経営に目覚める。ついには・・・。

ファイル 1737-2.jpg往年の美女カトリーヌ・ドヌーブ。うーん、観ない方が良かったかも・・・。しかし70年代の雰囲気がよく醸されていて、何とも懐かしい感じ。優雅な「飾り壷」の主婦の、女としての意外な過去も暴かれて、なかなか味わい深い部分もある。まさに女は深い海だ。ヒミツを心の底に隠しているわけ。が、女の嘘は笑って赦すのが男。熟年の男女の微妙な秘められた愛の形もそれなりに理解できるわけで・・・。

宇宙も地球も社会も教界も荒れている今日、ちょっと70年代にタイムスリップしてホッとしたいオトナにお薦めする作品。

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