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Dr.Lukeの一言映画評

ファイル 1794-1.jpg欲望は罪なのか・・・。オリバー・ストーンの『ウォール・ストリート』。ゴードン・ゲッコーがどんな形で復活するか楽しみにしていたが、なるほど、人間として復活していた。あの事件以降、彼が過ごした5年間の裁判と8年間の獄中生活が凝縮し、一人残った娘ウィニーとの葛藤もきわめて人間的に描かれていた。彼は獄中で自分を振り返り、気づいた、「カネがすべてではなく、人生は時間だ」と。しかし彼は娘のために残した1億ドルを巡って、彼女とその夫ジェイコブを裏切る。ジェイコブとウィニーの間も・・・、しかもその彼女のお腹にはゲッコーの孫が宿っているのだ。すべてが絶望に思えたその時に・・・。後はご自分でどうぞ。

それにしてもマイケル・ダグラスの存在感が圧倒的。どうしたらこういったオーラを醸すことができるのだろうか。歳を取ることの哀愁も今回は感じさせたが、なお、彼は輝いている。野心に燃えているが若い娘婿役のシャイア・ラブーフの頼りなさが逆にダグラスを引き立てている。資本主義は究極的には欲望。欲望こそがダイナミクスの原動力。2008年のリーマンショックも絡めて、末期的経済の状況を巧みに描くと同時に、バブルへの憧憬も感じさせる構成。私的にはかなり共感できる仕上がり。要するに経済はビールと同じ。泡がないと美味くないのだ。

途中、バド・フォックス役のチャーリー・シーンの出現は意外だった。彼は私生活は大変なことになっているようだが(→記事)。

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