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Dr.Lukeの一言映画評

ファイル 227-1.jpgエリザベス・ゴールデンエイジ』。時は日本の関が原の戦いの少し前。25歳で英国の女王となったエリザベスは国家と結婚することを誓い、暗殺の陰謀をかいくぐりつつ、ヴァージン・クイーンとなる。しかし当時ヘンリー8世のカトリックから聖公会の分離、エリザベスはプロテスタント、国民は半分がカトリック。そのような宗教的混乱も絡んで、種々の思惑が錯綜する。

国家に身を捧げるべくエリザベスも独身を貫くが、やはり女性。心を寄せる男が出現するのだが、彼と自分の腹心の侍女に裏切られる。あくまでも知性と冷静さをもって知られるクイーンもその嫉妬の炎に狂う。そして自らの従妹であるスコットランド女王のメアリー・スチュアートとの確執。メアリーによる暗殺の陰謀が暴露するも、エリザベスは彼女を処刑したくはない。が・・・。ついにメアリーの処刑を口実にし、ヨーロッパ全土をカトリック国家にする野望を秘めたスペイン王フィリペ2世がイングランドに無敵艦隊を送る。絶望的に見えたアマルダの海戦、しかしヴァージン・クイーンは自ら甲冑で馬にまたがり、兵士と生死を共にする決意を告げるや、自然の追い風もあって、イングランドは大勝利。かくして彼女の黄金時代を迎えるわけ・・・。

という次第で、今回はネタバレですが、歴史モノはやはりそのスペクタクル映像に魂がありますので、問題ないと思いますが・・・。それにしても興味深いのはカトリック、プロテスタント、聖公会と、いずれも主イエス・キリストを旗印にした宗教組織が互いに血みどろに闘うわけ。プロのエリザベスは即位した際も、いわゆる宗教的寛容策をとり、自分の王位権や社会的罪を犯さない限り、内心の信条では差別もせず、罰しないと宣言する。

国家と教会の関わりは神学的にはややこしいようだが、単純に言えば、その統治原理が違う。これが重なる時、つまりキリストの頭首権を大義妙分として国家権力が行使されるとき、それは実に恐るべき状況を呈するのだ。この意味で私はニッポンがニッポンキリスト教国家化されることにはある種の恐怖感を覚える次第。いわゆるキリスト教はあくまでもマイナーな宗教のままでいて欲しいと考えている。が、キリストの御体、いのちの御国は着実に伸び拡がることを祈るし、かつ信じている。ここでもキリストご自身(いのち)とキリスト教(宗教)の致命的相違を見る人は幸いである。

わたしの国はこの世のものではない。

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Luke

Mr.Sugarの記事、大いなる励ましを受けました。
http://yamaxst.blogspot.com/2008/02/blog-post_18.html

  • 2008/02/18 22:01
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