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海と本日の一冊

ファイル 243-1.jpg本日も実にイイ天気。やや花粉が気になるが、こういう時はつい海へと・・・。江ノ島海岸でボーっとするリッチな時間を過ごしました。今日は江ノ島神社の祭りでしょうか、賑わっていましたね。夫婦饅頭とお茶でささやかなシアワセを味わってきました。精神をアイドリングさせてくれる海は、イイ・・・。

ファイル 243-2.jpgで、本日の一冊は養老孟司先生の『まともバカ』(大和書房)。現代社会は脳化の産物であり、すべては記号化され、自然から離れた意識の中の現実であるとし、そこからいわゆる私たちの感じている「当たり前」がいかに当たり前ではないかを喝破する。脳化、すなわち仮想現実化し、離人神経症(※)的状態の現代人にとって、身体で感じること、身体を用いることの重要性を説いている(前にも禅僧との対談をここで紹介していますが)。いつもながら実に面白い。

※生きている実感を失う神経症。精神自己防衛機制のひとつである「解離」により感情だけが抑圧されて、実感を失う。何をしても、見ても、新鮮な感動がなくなり、生ける屍状態に陥る。

特に先生が東大を定年前に辞めた理由は何とオウム事件。医学部のオウム信者から、尊師が1時間水に潜る修行をするのでそれに立ち会ってくれ、と要請されたと。これでショックを受けた先生は自分がそれまでやったきた教育に疑問を感じて、突如東大を辞めた。先生のオツムの中の現実をオウム信者がかき回したのだ!まあ、ニッポンキリスト教の現実なども大いに先生の本のネタになるだろうと思うが(笑)。なにしろ私にとっても大いなる発見とオドロキの連続なのだから・・・。

加えて、先生とは私もある縁がある(前にも書いたかも?)。かつて私が東大の院生だった時、工学部の学生に福音を伝えた際の逸話。彼はなぜか霊魂と身体の分離性を確信しており、精神機能はニューロンネットワークの機能ではなく(つまり物理化学現象に還元できないと言うこと)、霊魂があるからだということを数学的に証明する論文を書いたのだ!?ところが指導教官に見せても相手にしてもらえない。私に見せに来たのだが、私も何とか自費で印刷してみたらとアドバイスしたら、何と彼、ほんとに出版してしまったのだ。

そしてその論文を養老先生に持ち込んだ。ビックリしたのは養老先生。で、ある本に「ボクのところに霊魂の存在を証明する論文を持ってきた学生がいるんです」と書いてある。先生にとってはオウム信者にまさるとも劣らずのオドロキだったことは想像に難くない。しかし「人の神化」の教義を養老先生はどう受け止めるであろうか?実に見物だと思うのだ。そう、言語の本質と表象の関係、また認識論的視点を忘れた脳化の産物ですよ、と言われるだろう、と私は思っているが。

Comment

Isaiah Ben Hur

神を脳化したのが、いわゆる神学でしょうか。。。

  • 2008/03/01 08:59
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Luke

おっしゃるとおりです。造られし者が造りし者を、造られし脳の中に記号化(言語化)によって納めんとする営みが神学と言えるでしょうね。いったん記号化されるとそれが勝手に(まあ、論理にのっとっていると思い込んでいるのでしょうが)一人歩きして、ついには「神性と人性を性質を変えることなく混ぜ合わせる」とか言うナンセンスなことをまともに信じ込む。何を信じるのも自由ではありますが(笑)

というわけでこのような「メタ視点」を持ちつつ、神学の研究に邁進していただけると私的にも安心できるのですが・・・。リーやダビデのシンパや再建主義の富井さんあたりを見てると、この辺がどうも不安なわけです。対して、山谷さんはこのあたりをきちんと意識して神学と関わっている故に、信頼できるわけですね。

げに恐ろしきは飲み込まれた人々―しかもその病識を欠如した人々。ニッポンキリスト教には、ほんと、この手の人々が多いわけです。

さて、これからプールとサウナ。そして午後は映画です。『ジャンパー』と言うSFXもの。

  • 2008/03/01 09:36
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