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哀れ、鈴香被告人

秋田の2人の子供殺人事件では、私は鈴香被告人が犯人であることを予想していたが、果たしてそのとおりだった。そして彼女の境界性あるいは虚言・演技性人格障害傾向を指摘したが、今回彼女の被告人尋問の言葉にはやや同情を禁じ得ない。その幼少時からのイジメ経験を証言し、その過酷さと残酷さを知ると、彼女の「死のうとしても死ねなかった。剛健君のご両親の願う判決を求める。極刑にしてほしい」との言葉にはうめきを覚える。弁護人の「それは命をもって償うという事ですか」との質問に「そのとおりです」と答えている。

犯罪の根底には人格障害があることは事実。しかし何ゆえそのような人格が形成されたか。それは単に彼女自身の責任なのか。そのような研究を行う分野を「犯罪精神医学」と言う。今、あの卒業記念の色紙を書いた彼女の高校時代の同級生たちはどう感じているのだろうか。精神病理の学徒として告白するが、ますます人間の心は不可解になる。そして再び繰り返すが、

 まことに不可解なるはニンゲン、まことに恐るべきもニンゲン、そして愛すべきも人間。

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