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混迷する日銀総裁選び

日銀総裁選びは武藤氏の総裁昇格が参院で否決されて混迷している。ちなみに『文藝春秋四月号』に日本を米国に売り渡したと悪名高い竹中平蔵氏の論文がある。題して「福井総裁が日本経済を悪くした-デフレ脱却を果たせなかった"物価の番人"の責任を問う」。要するにデフレ下の06年3月に量的緩和策を解除したことが、流動性を損ない日本経済の地盤低下を招いたとする。量的緩和策とは各銀行の日銀の当座預金口座の残高を増やす策を言う。金利がゼロの場合、金利策はそれ以上はどうしようもない。そこで日銀が国債を買い上げて、各行の当座預金を増やすわけだ。当座預金は金利ゼロだから各銀行は融資を増やし、かくして流動性が高まるわけ。

ところが解除前には30兆あった当座預金も、06年3月以降一桁に落ちている。私も当時、解除は時期尚早と指摘したが(→こちら)、竹中氏も「次期総裁に何より求められるのは、まず、通貨の供給量を増やしてデフレを脱却することである。その上で、経済をデフレにもインフレにもしないこと。具体的には多くの国でそうしているように、1~2%の穏やかな物価上昇を実現することである。そうなれば、実質成長率が現状の2%程度でも3~4%の名目成長率が期待できる」と指摘。これは私も前に同じ意見を書いた(→こちら)。フィッシャーの交換方程式<MV=PY>によれば、V(回転速度)とY(国民総生産)が一定であれば、M(通貨供給量)が増えれば、P(物価)も上昇するわけ。さらに竹中氏は増税によって財政赤字を解消する試みはあり得ないと指摘し、「攻めの経済運営」が必要であると結んでいる。

さて、日銀総裁選び、またガソリンの暫定税はどうなることやら・・・。顔の見えない福田さん、何を考えているのでしょうか。

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