Dr.Lukeの一言映画評
- 2012/01/21 21:42
- Category: 映画
- Tag: 昭和 バブル 高齢化社会
『ALWAYS 三丁目の夕日'64』。シリーズ第三作。シリーズものは徐々に質が落ちるが、今回も、まあ、そこそこよかった。ストーリーはよくあるものとしても、昭和30年代が実に懐かしい。私は5歳まで東京の大森育ち、オヤジはまさに鈴木オートのおやじさんと同じ自動車整備士だったのだ。周囲は昭和の郷愁に浸りたいやや高齢層。隣のおばちゃん二人組が映画館と茶の間の区別がつかないようで、べちゃくちゃとうるさいこと。若い子たちも電車の中で化粧するのも当たり前だが、この年代も公共の場が理解できないようだ・・・。
ちなみに今日の日経夕刊によると、個人消費の44%が60歳以上により、その額101兆円!GDPの60%が個人消費だから、わがニッポン経済はまさにこの世代の経済活動によるわけだ。30、40代は、今、過酷な労働条件下にあるようで、『プレイボーイ』誌などでも「若者に将来はない」的な特集を組む時代。4人にひとりが65歳以上のわが国。まことにこの映画の頃は何気に将来がバラ色だったなあ、とやや今日のニッポンの現状に思いを馳せつつ、懐かしむ自分がいたりするのだ。
で、いつもバブルのクリップで恐縮だが、87年のこの映画も面白かった(この頃、私はマンション購入計画を開始した)。匂いがまさにバブルの匂い。映画の中で出てくるショルダー型のケイタイ電話が実にゴッツイ。・・・しかし、ニッポンはすでに終わりつつある。あの時代には決して戻れないのだ。この映画の最後の方で、権堂商事の社長が子供たちの無邪気に遊ぶ姿を見てぽつりとつぶやく、「心は安らかな方がいい・・・」と。そう言わせた伊丹監督は、私の懸念のとおり、自死してしまった。ある意味予言的な映画だった。
追記:ニッポンは貧困率15.7%(2007年)。OECD諸国中でも上位。
かくして貧困率の推移をみると、ニッポンは着実に"豊か"になっているのだ!