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Dr.Lukeの一言映画評と本日の一冊

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映画のポイントが貯まりタダ観で『麒麟の翼 劇場版・新参者』。一人の会社の管理職が刺された後、8分間も歩いて日本橋の麒麟の像の下で死んだ。彼の手から放たれた白い折り鶴。所轄刑事の加賀はその被疑者側の家族と被害者側の家族に丁寧な捜査をするうちに、3年前の一つの事件がクローズアップされる。そこに隠された真実が、巡り巡ってこの事件につながる。・・・というわけでネタバレできないので、あとはご自分で。

背景にある格差社会。福島から希望を持って上京した若い男女が、非正規雇用の貧困の中でこの事件に巻き込まれる。その二人の生活を通して今のニッポンの悲惨が描かれている。一方で会社の管理職の恵まれた家族も互いの薄い関係性に気づく。が、その父親が息子に送った隠されたメッセージが救いとなる。東野圭吾はこういった社会を推理小説の中に巧みに描き込むの上手い。若干の設定の難点も感情移入によってかき消されてしまうのだ。ただ券で観るにはちょうどいい。

しかしこのデータを見るとわがニッポンの現状と将来に戦慄を覚える。まずは人口の推移と、人口ピラミッドの形状の推移予測だ。諸問題の根底にあるのはこの少子化。何ゆえに女性が子供を生まない/生めないのか?

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そして企業側も非正規雇用で成績を上げようとする。私の知り合いで若い頃外資系に勤めかなりの給料を取っていたが、人生に疑問を覚えて退職し、しばし引きこもり、主イエスに出会い、派遣と契約を7年間やって、50代を目前にして最近ようやくある大企業の正規職を得た兄弟がいる。彼は独創的な仕事が認められたのだが、その時に応募した人員は、なんと90名。で、正規雇用されたのが2名だったそうだ。これが現状。20代では47%が失業中か非正規雇用だそうだ。

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正規か非正規かで次のグラフにあるとおり、結婚も左右される。この映画でも、社会において学歴も何も持たない裸同然の若いカップルが、子供を産んで家庭を維持することがいかに困難であるか描かれていたが、もう一度根本的なパラダイムシフトによって、昭和30年代に帰る必要があるのかもだ。あの頃はみな裸一貫で生きていたのだ。

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そして本日の一冊は、私の好きなエコノミスト、藤巻健史氏の『世界経済「大動乱」を生きのびよ』。

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同氏とはちょっとしたからみがあるのだが、まあ、それは置いておいて、同氏の主張は円安によって経済を立て直すべきだとするものだった。私も同意していたが、同氏はこれだけ財政赤字が積もるともはや遅いと指摘。ここでも何度も言っているが、年収400万の世帯が1億の借金を抱え、新たに400万づつ借金を増やしているのが、我が国の実情だ。同氏はもはや制御不能(アンコントローラブル)と結論。しかし米経済はいぜんとして強く、中国も世界の工場であり続けるとし、ニッポンとEUが崩壊すると予測している。究極的に財政破綻した後、ニッポンが生きる道は大幅円安を武器とする以外にないとする。誰かが言っているところの「アンコントローラブル」なる単語が書かれた帯に惹かれて買ってしまった。

追記:

1.あのゴールデンカップル、三浦百恵夫妻の息子が準主演なのだが、彼はなぜか精彩というか、オーラを欠いている。リポDのCMでもパッとしなかったが。あの美男美女を両親にもちつつ、不思議だ。

2.低所得者ほど生活習慣に問題があるとの調査結果が・・・。

時事通信 1月31日(火)17時2分配信
 世帯所得が年200万円に満たない人は、比較的高い収入のある人に比べて野菜を食べる量が少なかったり、運動の習慣がなかったりと、生活に問題がある傾向があることが、厚生労働省が31日公表した国民健康・栄養調査で分かった。
 調査は国民の食事や生活習慣を把握するために毎年行われ、今回は初めて所得との関係を調べた。厚労省は「低所得者には生活を改善する時間的余裕がないとの指摘がある。これまでは健康増進のために個人の行動を変えようとしてきたが、今後は社会環境の整備も必要だ」としている。


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