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Dr.Lukeの一言映画評

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ウイレム・デフォーの『ハンター』。

傭兵マーティンはバイオテクノロジー企業から、絶滅したはずのタスマニアタイガーの生体サンプル入手の仕事を請け負う。タイガーの生存情報を入手した企業は、凄腕のハンターでもあるマーティンに依頼し、その遺伝子情報を独占しようとしたのだ。ベースキャンプとなる家には、幼い姉弟と寝たきりの母親ルーシーがいた。子供たちの父親は数ヶ月前に森で消息を絶ったままだった。森と家を往復し、タイガー捜索を続けるマーティン。やがて彼は手がかりをつかんでいくが…。

作品のモチーフは絶滅種と言われるタスマニア・タイガーのDNAを採取すると言う、実に近代的な設定だが、ストーリーはかつての『シェーン』や、ヴァン・ダムの『ボディ・ターゲット』と通じる。父親不在の母と娘と息子の家庭に関わる孤高の無法者が、家族の愛情に目覚めていく。孤高の傭兵マーティンも、真実を知ると、独り山に篭もり孤独なタイガーに自分を重ねる。その自分を彼は自らの銃で・・・・(撃ったのか、撃たなかったのか、これはヒミツ)。生計を立てるためには、環境を破壊することは不可避。そのエコ信者と現地の生活者の葛藤も描かれている。荒涼たる光景が実に美しい。

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それにしてもウイレム・デフォーはこの手の役がピッタリだ。ややサイコ的にして孤独な人物を演じた、オリバー・ストーンの出世作『プラトーン』で悲劇的な最期を遂げるエライアス軍曹役が光った。テイラーがヘリの上からベトコンに追われる味方を発見する。しかし時、すでに遅し。軍曹は両手を上げて銃撃される。

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こちらはヴァン・ダムの『ボディ・ターゲット』。原題は"Nowhere To Run"。直訳すると「逃げ道なし」だ。

これは94年に北海道行きのフェリーで観た作品。あの頃は東京湾を夜出航し、船中で2泊する贅沢なことをやっていた。で、このタイトル、こちらにても発見。そう、何と、今のわがニッポンそのものではないか!?

果たしてわがニッポンは世界のタスマニア・タイガーの運命を辿るのだろうか。

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