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Dr.Lukeの一言映画評

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昨日の青空と海をぼーっと眺めつつのスパ日和から一転、雨の一日。こんな日はなんとなく実に気持ちのイイ朝寝ができてしまうもの。9時頃に起き出して、熱いシャワーが気持ちイイ。

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で、映画だが、史上初の英国首相、鉄の女『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』。彼女が認知症に苦しむ晩年の姿と、フラッシュバックする彼女の輝いていた時代の場面をオーバーラップさせて描いた作品。晩年の認知症を患った老女の孤独と内面生活を、実に巧みにメルリ・ストリープが演じている。特にメーキャップがすごい。

あらゆる面で機能不全に陥っていた英国を叩き直すべく大鉈をふるい“鉄の女”の異名をとったマーガレット・サッチャー元英国首相。歴史にその名を刻む強靱な彼女が認知症を患っていることが公にされたことを受けて、脚本家アビ・モーガンは妻であり母であるひとりの女性の普遍的な物語として本作を書き上げた。監督は『マンマ・ミーア!』を世界的大ヒットに導いたフィリダ・ロイド。そして主演は現代最高の名優であるメリル・ストリープ。「感じることより考える事が大切」と繰り返したカリスマ的ヒロインの凋落を演じて圧巻である。常に妻を支える夫デニスには類い希なユーモアのセンスが光るオスカー俳優ジム・ブロードベンド。

70年代後半から80年代はバブルへの助走時代。ある意味、ニッポンだけでなく、世界が輝いていた時代。しかしその裏では着実に今日の様相をもたらす何かが動いていたのだ。所詮政治家も表の役割を演じさせられるだけなのだ。「何か」のシナリオに従って。サッチャーの言葉、「今の時代、感じることばかりが優先されて、考えることがない。考えは思想となり、思想は言葉になり、言葉は行動になり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、人格が人生をつくるもの。想いが人を造るのです」はまことにそのとおりだ。

問題は最初の考え・想いがどこからくるのか?蛇に騙されたエバは神の言葉に従って自分を否むのではなく、蛇のサジェスチョンに乗せられて、神の言葉を否んだ。その結果が今のこの世の刈り取りであり、したがってサッチャーの言うとおりに世は動かされているわけだ。世はあの者に横奪されている。その中で生きる私たちは世にあって生きているが、世のものではない(John 17:15-16)。自分の考えを見張ること、一人ひとりが最初の考えの出自と内容について、自分の思い(mind)のウォッチマンとなる必要がある。誤った考えに従うことはあまりにも大きな代償を生むことになるのだ。御言葉にどこまでも服し続けること、おそらく終末の欺瞞に欺かれない鍵だ。

あなたがたはこの世に倣ってはなりません。むしろ、思い(Gk)を新たにして自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい。-Rom 12:2

メルリ・ストリープはロバート・デニーロと切ない大人の恋愛物語を演じた84年の"Fall in Love"でmy favoriteとなったが、現代最高の名優と言われている。まことにそのとおりにサッチャーのブリティッシュアクセントの独特の口調を実に巧みに再現している(こちらが本物)。そう、思わず本人と錯覚する。しかしこの80年代は輝いていた。サッチャーの回想と自分の回想とが見事に重なってしまうことに気がついて、思わず、思へば遠くへ・・・モードに。不可逆的に相転移した現代、もはやあの時代は戻れないのだ。

私たちは神からの者であり、全世界は悪い者の支配下にあることを知っています。-1John 5:19

追記:いつもの再建主義の富井氏が面白ことを書いておられる。最近、コンビニなどでつり銭をもらうとき、こちらの手の上と下を両手ではさまれることが多い。これが実にキモイのだ。媚がここまでくるとほとんど末期症状。いつもニコニコ牧師顔のニッポンキリスト教とまことに合わせ鏡ではある。人に媚びては真理を語ることはできない。で、それをネタにして・・・

ここで言う、捨てるべきいのちとは、魂(soul)のいのちであることはこのブログの読者ならば承知のことと思う。

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