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預託実効線量の計算

昨年は空間線量率(μSv/h)から土壌汚染(Bq/m2)を求め、トンデル博士の経験則*1から、福島や関東圏各地の発ガン率の上昇率を推定してもらった。これは要するに外部被爆、つまり主にγ線の影響だ。

今年の卒研生には内部被爆の評価をしてもらっている。こちらは主にα線*2とβ線*3。夏休みに各自(私も含めて)ホールボディカウンタで内部被爆を測定したところ、K-40を除いて観測限界内においてNDの結果を得た*4。そこで事故以来の内部被被爆の程度を調べるために、水、食物、呼吸からの預託実効線量*5を推定してもらおうと言う訳だ。実は尿に排泄された核種量から放医研開発のMONDAL3というソフトを用いても推定できる。放医研からありがたくも無料で分けていただいたのだが、尿検査ができなかったので、残念ながら今年はこちらはアウトだった。

いや、しかし、昔『保健物理学』の実習でちょこちょことやった計算を、まさか自分の学生たちにやらせることになろうとは誰が想像しただろうか。あくまでも特殊な人々用の知識だったのだが。線量計を携帯する時代、ケータイのアプリにもなるほどだ*6。まことにすごい時代になったのだが、それがやばいと感じなくなっている大衆がもっとヤヴァイのだ。Fukushimaはまだ収束していないのだ。むしろアメリカの方が深刻にとらえている。このグラフから、じわじわと放射能レベルが上昇していることが分かる。ちょっと怖いグラフだ。

ファイル 3163-1.png

*1:スウェーデン北部の観測データから一平米当たりの汚染度100KBq毎に発ガン率が11%上昇すると言う観測結果(→Increase of regional total cancer incidence in north Sweden due to the Chernobyl accident?)。
*2:陽子2個と中性子2個のヘリウム核。
*3:電子線のこと。
*4:K-40は通常でも4000Bq程度存在する。
*5:ある時点である核種を摂取した場合、それから50年間にわたって内部で受ける被爆量を合計したもの。「核種ごとに決まっている実行線量係数(Sv/Bq)×年間核種摂取量(Bq)×調整係数」で求める。
*6:昨年の学生に孫さんにTwitter経由で提案するように言ったのが、彼の案が通ったかどうかは知らないが、Softbankの機種にはついているらしい。

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