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Dr.Lukeの一言映画評

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ジェロニモことビン・ラディンを抹殺するための特殊部隊による『ゼロ・ダーク・サーティ』作戦に至るまでには、若き女性CIA情報分析官マヤの狂気を帯びた追跡があった。2001年9月11日以降、膨大な費用を投入しても居所不明であったビン・ラディンを追いつめたのは、うら若き美女だった。うーん、このコントラストが面白い。

『ハート・ロッカー』でアカデミー賞監督となったキャスリン・ビグローの最新作は、その前作同様アメリカが今まさに直面している戦争を描いたものだ。9.11テロから10年、人々のビンラディンに対する記憶も薄れようとしている2011年5月1日、アメリカのネイビーシールズがビンラディンの隠れ家を急襲し、殺害する事件が起きた。そしてその裏に、ひとりのCIA女性分析官の功績が大きかったことが明らかになる。本作はその分析官マヤがパキスタンに赴任してからの8年間を追い、彼女が隠れ家を探し出す過程をリアルに描いたものだ。映画のハイライトとなるビンラディンの隠れ家への急襲シーンは、まるでドキュメンタリーを観ているかのように再現されている。主演のジェシカ・チャステインは、世界の映画賞を受賞した納得の熱演を見せ、第85回アカデミー主演女優賞にもノミネートされた。

作りは派手なものではなく、ドキュメンタリータッチで淡々と描いている。いわゆる特殊部隊のアクションを期待すると失望するかもだ。しかしシナリオはすべて当事者たちの証言に基づいて構成されているだけあって、リアリティは迫ってくる。

まあ、「9.11」がそのものがアルカイダによるとは、この時期多くの人々は思っていないだろうし、果たしてこの作戦で消去された人物がビン・ラディンだったかも不明だ。映画では最後に、死体袋の中の人物をマヤ自身が確認する場面があるが、何気に「?」を覚えてしまった次第。アメリカは湾岸戦争でも若き美女兵士を捕虜にしたててヤラセをしたわけで、どうも素直にはなれない自分と直面してしまうのだった。そもそもこの情報分析官がゴッツイおやじだったらこんな映画は作られなかったろうし、あえて若き美女と言う点が・・・。あああ、でも、これでやめておこう

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