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CLIP:緑茶・コーヒーの威力

このふたつのニュース、クリップしておこう。ひとつはエピガロカテキンガレート(EGCG*1の抗がん作用。特にED治療剤と組み合わせると効果が高まると言う研究結果。臨床応用も開始されるとかで、期待できる。ED治療剤がEGCGの作用を抑える酵素を抑制するようだ。


 カテキンとED薬で抗がん作用=併用で高い効果-九州大

 緑茶に含まれるカテキンの一種と男性機能不全(ED)治療薬を併用投与することで、正常な細胞をを傷つけずにがん細胞のみを殺し、高い抗がん作用を発揮することを、九州大大学院農学研究院の立花宏文教授の研究チームが突き止めた。研究成果は25日、米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション電子版に掲載された。
 立花教授によると、これまで抗がん剤が効かなかったケースでも、高い効果が期待できるという。早ければ年内にも米国で臨床実験を実施する。
 同教授のチームは2004年、「エピガロカテキンガレート(EGCG)」と呼ばれるカテキンの一種ががん細胞の細胞膜表面にあるたんぱく質と結合することで、がん細胞を特定して殺す仕組みを解明。今回の研究では、EGCGの抗がん作用を阻害する酵素に着目し、この酵素の働きを抑える化合物を含むED治療薬を投与したところ、抗がん作用を高めることに成功した。(2013/01/26-09:00)

いつもどおりEGCGの構造を紹介しておく:


もうひとつの記事は緑茶とコーヒーの摂取で脳卒中が有意に減少するという研究結果。

時事通信 3月15日(金)8時22分配信

 緑茶やコーヒーをよく飲む人ほど脳卒中になるリスクが軽減されるとの調査結果を、国立循環器病研究センターなどがまとめ、米医学誌「ストローク」(電子版)に発表した。
 調査は1995年と98年に、岩手、新潟、長野、高知、長崎、沖縄県などにある九つの保健所管内の45~74歳の男女約8万2000人を対象に実施。緑茶および缶コーヒーを除くコーヒーの摂取頻度のアンケート調査を行い、2007年末まで追跡調査したところ、うち3425人が脳卒中を発症していた。
 緑茶の摂取頻度で発症リスクを比較したところ、頻度の最も少ない「飲まない」人に比べ、最も多い「毎日4杯以上」の人は20%、「毎日2、3杯」の人は14%リスクが低かった。
 コーヒーでは、「飲まない」人に比べ、頻度の最も多い「毎日2杯以上」で19%、次いで「毎日1杯」で20%、「週3~6日」で11%、それぞれリスクが減った。
 また、緑茶もコーヒーも両方飲まない人と比べると、緑茶を毎日2杯以上飲むか、コーヒーを毎日1杯以上飲むと、脳卒中のリスクがそれぞれ約3割低下した。 
 同研究センター予防健診部の小久保喜弘医長は「あくまで推察だが、緑茶カテキンは抗凝固作用などで血管を保護し、コーヒーは血管の詰まりの危険因子である高血糖を下げるといわれるクロロゲン酸がリスク軽減に関与しているのかもしれない」と話している。

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図の出典:ハザード・モデルによる解析結果は国立循環器病センターの報告書をどうぞ。

コーヒーはカフェインがよくないとか言われているが、どうもメリットの方が高いようではある。老化と疾病を防止するカギは抗酸化作用の高い食品を摂取すること。実は運動も適度にしないと、運動により生じる活性酸素の高い電離作用により細胞膜が傷つけられるのだ。ビタミンE,C,Aやβカロチンなど、生野菜に多く含まれる抗酸化物質を十分に摂取することが若さと健康にとってはカギとなる。

*1:正式名は[(2R,3R)-5,7-dihydroxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)-3,4-dihydro-2H-chromen-3-yl] 3,4,5-trihydroxybenzoate
3,4,5-trihydroxybenzoic acid [(2R,3R)-5,7-dihydroxy-2-(3,4,5-trihydroxyphenyl)chroman-3-yl] ester

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