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がん細胞が進化する

との記事が今朝の日経紙に出ていた。で、すい臓がんの例についてこの図があった。

ファイル 4112-1.jpg

この図を見て変だなと思われませんか?すい臓がんの場合、発見されるサイズになるまでに20年ほど要しているのだ。しかし最初の18年の間に発見してオペすれば5年生存率が高くなると!?このトリック、分かりますか?

すでに何度も抗がん剤の有効性のデータに問題があることを、近藤医師の論文などから紹介した(→リスト)。抗がん剤は白血病や一部の固形がん以外は基本的に効果がない。あるいは腫瘍縮小作用はあっても正常細胞も傷つけ、QOLを落とし、結局は寿命延長作用はないのだ!このことがこの図から明らかであろう。つまり初期段階で発見されずとも、がん細胞が悪さをするまでに20年は必要であり、仮に60歳で始まったとして治療を受けずとも80歳までは、がんと共に生きるのだ。もし初期に発見してオペなり抗がん剤や放射線を用いた場合、5年生存率はステージに応じて次のようになる。

すい臓の場合、ステージ1でも31.9%!もしいじらなかったら・・・。なるほど近藤医師の説も頷ける次第だ。私の友人医師の経験例でも、96歳まで元気でいて、7-8cmの肝ガンが発見された症例もある。積極的治療はせずに安らかに逝かれたとのこと。対して私の知り合いで肝臓がんを初期に発見し、針を入れてラジオ波で焼却する治療をすでに5-6年にわたり繰り返している例もある。2週間に一度、再発にびくびくしながらマーカーやX線で検査して、見つかった場合、もぐら叩きのように繰り返すのだが、カネと労力、そして心が折れそうになりつつ、歯を食いしばっているのだ。年齢は75。

そもそも5年生存率を云々するのはあくまでも医者の腕比べのためか、製薬会社の営業のためだ。患者にとってはまったく意味のない数値なのだ。そのデータの取り方でいくらでも結果を動かせることは、ちょっと医療統計学をかじれば分かること。がんとは戦うな(もちろん痛みや出血がある一部のものは除くが・・・)。これ、人生を楽しむ上できわめて重要なパラダイム転換なのかもしれない。

追記:50台までの家族と社会に責任がある間は、体力もあることだから、でかくなっていたら財前五郎のような外科医にスパッと切ってもらい、抗がん剤や放射線は避ける。そして中村仁一医師の言うとおり、70を過ぎて生物的な賞味期限が切れたら(線引きは異論があろうが・・・)、もはや放置でいいと思うのだ。さらにいわゆる早期発見のための検診なども不要かもしれない。がんと同居して20年生きられるのだから。


Comment

電気屋

興味深いご指摘ありがとうございます。
ただ、あの図をみると癌はほおっておくと様々な癌に変化する様に見えますが、(もちろんLukeさんが作ったワケではないのですが)切ったり焼いたり毒を喰らわせない限り変化はないようです(つまり財前氏にでさえ切ってもらうメリットは、、)。
転移する癌は初めの一個からその才能を持っていて、殆んどの乳がん、子宮けい癌などは”がんもどき”という近藤誠さんの見解→”「余命3ヶ月」のウソ” は、 かなり私的にかなりストライクに近いです。

  • 2014/02/02 18:07
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Luke

しばしばメインストリームなるものは表向きのプロトコルでシャンシャンと動くものですからね。そこから外れたところに真実があるものなのでしょう。ギョウカイによらず・・・。

  • 2014/02/02 19:35
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