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時代は遡り1980年代

今週の『週間文春』によると、今回の件は30年前、1980年代の京都大学のキャンパスにおける三角関係の縺れが生んだ事件とのことだ。当時、笹井氏と高橋氏がひとりの女性を巡って争ったが、その女性は高橋氏を選んだ。いわく、「笹井君は研究者としては有能だけど、男としては、キモイ」と。現在高橋氏は京大のiPS細胞研究の最先端におり、夫人政代氏は理研において網膜再生の研究者として名を上げている。その頃学歴的には差をつけられた山中氏が神戸大でラグビーに打ち込んでいた・・・という青春物語だ*1

この失恋をバネにしてアメリカにわたった笹井氏は研究者としてES細胞から臓器を作る研究の第一人者となった。しかし、その栄光は短く、挫折に次ぐ挫折を味わった山中氏はiPS細胞であっという間に笹井氏を追い抜いたのだ。その第二の挫折の中で登場したのが不思議ちゃんこと小保方氏。笹井氏は彼女を寵愛し(文春は男女関係を匂わせている)、STAP細胞で恋敵高橋氏とライバル山中氏を一挙に出し抜き、自分の人生を取り戻そうとして勇み足を踏んだというわけ。・・・なるほど、面白いストーリーだ。視点がいかにも文春らしい。

その笹井氏はこれまで雲隠れしていたが、会見をするという。しかも彼はSTAP細胞は実在すると明言してしまった。これは彼の学者生命を賭けるものであり、彼の人生は小保方氏と一蓮托生となったわけだ。極私的にはSTAP細胞はないと感じているが、少なくとも小保方氏はその存在を信じているようだ。とても嘘を言っている目ではなく、その功績を人に取られまいとする姿勢も強い。彼女の思い込みなのか、事実なのか。最後の結論は笹井氏の会見を待ってからでも遅くないかなと思い直しているところだ。

参考までに、極私的にはこの推理に同意する部分が多い。これまでの情報からもっとも合理的に導き出される結論であると思う次第。

一方の笹井氏はこういわれている。

小保方氏は9日の会見で「200回以上STAP細胞の作製に成功した」などと主張した。

一方で、専門家からの指摘では、STAP細胞が実は別の万能細胞(ES細胞)が混ざったものではないかという疑念が多い。

これに対し、笹井氏は「他の万能細胞を混ぜても、一つの塊にならない。実験をやったことのない人の机上の考えだ」と反論。ES細胞からつくれない組織がSTAP細胞ではつくれたことなどをあげ、「ES細胞では説明のできないことが多すぎる」「STAPが存在しないなら、私たちが再立証に力を入れることはない」と指摘した。

やはりサイエンスにおいてもその原動力はフロイトのリピドー、つまり性的欲動なのかもしれないと思っている。出来上がったサイエンスはその途上の諸々のコンタミ(混じり物)を排除して、結果としての美しい部分だけを人々に披露するものなのだが、その裏の動機はけっこうドロドロとして混沌たるものから湧き上がるものなのだ。面白いのはこの問題をどのレベルで見て評価するかにより、その人の内部が透けて見えてしまうこと。イルミナティなどの妨害とか言い出す人々はそれなりの人たち。笹井氏と小保方氏がどんな関係にあるのか気になる人は、またそれなりの人たち。

ちなみにここまでくると、極私的には、STAP細胞の存在か不存在をはっきりして欲しいと思っている。存在するならば小保方氏を大いに評価したい。論文のコピペ問題などのモラル面はちょいと脇に置いてもだ。そう、繰り返すと、私の対人評価プロトコルは、オペを受けるならば、愛人がいてカネと権力に野心を燃やすとにかくメスの切れる財前五郎タイプの外科医にお願いしたいのだから・・・・。

追記:STAP論文にまた疑惑が生じたようだ。

 英科学誌ネイチャーに掲載されたSTAP細胞の論文に、新たな疑問が浮上した。論文にはメスのマウスのSTAP幹細胞に関するデータが載っているが、幹細胞を作った研究者は「オスしかつくっていない」と話していることが11日、理化学研究所の関係者の話でわかった。

性の転換については、ここでも紹介したkaho氏がBioinformaticsの分析により指摘していた。

*1:私は東大にいたがあの頃はひたすら株式投資のプログラムを組んでいたなぁ・・・

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