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閑居偶作-道元

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閑居偶作 道元
生死 憐れむべし 雲の変更
迷途 覚路 夢中に行(すす)む
唯留むるは一事 醒めて猶ほ記(おぼ)ゆ
深草 閑居 夜雨の声

ここでも『正法眼蔵』など、何度も紹介している天才道元。彼の禅は妥協を一切許さず、当時の仏教界の腐敗を糾弾、ゆえに天台宗からの弾圧をしばしば受けた。また政治的権力にも一切おもねることをせず、世俗との融合を嫌った。ゆえに仏教界からも世俗勢力からも絶えず生命の脅かしも受た。その背景を知りつつ味わうと彼の境涯が見えてきて、一体となれるのだ。極楽寺安養院に閑居した歳の作品。

  生き死にの憐れむべきことは、雲の移り変わりのようなもの、
  迷いの途も覚(さと)りの路も、夢の中を行(すす)むようなものだ。
  そんな中で醒めて心に留めることはただひとつの事、
  深草の閑居に降る夜雨の声(ひびき)なのだ。

そう、所詮この世は浮世狂言と知るべきなのだ。

空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。-Eccl 1:2

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