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集団ヒステリー的言葉狩り国家ニッポン

田母神俊雄前航空幕僚長が政府見解と異なる内容の懸賞論文で300万円を受賞し、更迭された上、反省謝罪無しと、極悪人かのように叩かれている。早速彼の論文を読んでみた(→こちらにpdfファイルがある)。

基本的にはここでも前に紹介したパル判事の判決とほぼ同じであり、渡辺昇一氏や桜井よしこ氏の主張とも重なる。果たしてパル判決が正当か、東京裁判の判決が正当か、素人の私には事実関係や法理論を検証する能力はないが、私の専門の立場からすると、本件のような場合の世間やマスコミのヒステリックな反応自体にニッポンの病理を感じる次第。何ゆえここまで騒ぐわけ?政府機構の構成員の立場では、政府見解と反する主張は許されないわけ?憲法9条の呪縛により、現自衛隊が手足を縛られ、隊員の士気も落ちていることは事実。アイデンティティの根幹を否定されつつ、表向きの任務を全うすることは、分裂病者でもない限り、精神病理的に無理がある。自衛隊は引き裂かれた存在なのだ。

かくして現ニッポン、マスコミも大衆も自らのサディズム傾向を満たすために叩く獲物を求めて、目をらんらんとさせている。先の中山成彬氏の場合も同じだった。こちらにフランス在住のビジネスマンが海外から見た現ニッポンの様がいかに異常であるを指摘している。題して「『言葉狩り』大国ニッポンを憂う」。ホンネを言えず、社会の欺瞞的決まり事にうっかり抵触するならば、正義感ぶったマスコミ人やコメンテーターと称する連中が、もっともらしい正義の錦を振りつつ、叩くだけの不毛な反応を示す現ニッポン社会。しかもこれが正常だと思っている、否、正常とも異常とも意識すらしない、自らの状態に対するメタ視点すらも持ち得ない病識を欠如した現状。医療崩壊も教育崩壊も実は制度の問題と言うよりは、真のアイデンティティとプライドを喪失し、相手(米国、中国、韓国、さらに世間)に映った自分(鏡像自己)を絶えず気にしにながら行動するニッポン人の精神病理の問題なのだ。すでに指摘している政治・軍事・経済的に去勢されし国家の悲劇とも言える。

渡辺昇一氏は、日本が真に自立するためには東京裁判史観から解放されることであると訴えているが、どうも現状を見ると、大衆自身がその願いを喪失しているし、そもそも問題意識すら持っていない。あるいは問題意識を持ち出すと問題を論じることもなく、思考停止の上、ただちに有無を言わさない抑圧がかかるようだ。これは閉鎖社会ニッポンの中の閉鎖社会ニッポンキリスト教も同様。自らに対するメタ視点が欠如した社会はどんどん倒錯化する。どうも両者とももはや立ち直るには遅すぎるのだろうか。そのためには自らの病理をしっかりと意識する必要があるのだが。その真実に直面するキャパすらも喪失しているかも知れない。

追記:このような反応は"加害者"と"被害者"の立場の違いがあるものの、いわゆるドイツにより迫害されたユダヤ人たちときわめて類似している。基本的な病理は真実からの逃避のための抑圧とその結果である強迫反復の病理。ドイツではニュルンベルグ裁判の結果に反する発言をするだけで逮捕されるのだが、下手するとニッポンでも東京裁判の判決に反する発言をすると逮捕される時代も到来するかも知れない。

「ユダヤ人」と日本人http://www.kingdomfellowship.com/Treatises/index.html

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