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カワイさとツヨさの狭間で

夏休み、昨年岩波から本を出した石埜穂高君と同級会3次会で話したテーマが、これまでのパラダイムが崩壊したニッポンで、次期ニッポンを創るパラダイムは何か、だった。彼いわく、「オタク文化だよ、ヨーロッパではニッポンのオタク文化はCOOLだと高く評価されている」。私「オタク文化は倒錯の一つの形態だから、社会全体が倒錯化するわけ?」。彼いわく「そのとおり。キーワードはKittyちゃんの象徴する"かわいい"だ」。

ファイル 603-1.jpgで、本日のNHK『クローズアップ現代』にて現代アートの代表的存在で、彼の作の美少女フィギュアに15億円の値がつくという村上隆を特集していた。彼も「ニッポンは開国以来、日本独自の文化を否定されて、西洋のものを押し付けられて自信を失ってきたが、その中で日本的な"かわいさ"を彼らに理解できる形で表現してやれば、それが伝わる」と言う。私的に言えば、政治・軍事・経済と去勢されたニッポン文化の中で、原初的リピドーをかろうじてフィギュアやアニメなどの形に昇華した、あくまでも倒錯的サブカルチャーがオタク文化だとなるのだが、村上氏もむしろそれを前面に訴えて海外で認められているようだ。うーん、石埜君がどうも正しそうだ。やはりこれからの去勢された国家ニッポンを立ち直らせるのはオタク文化か・・・!?

ファイル 603-2.jpg一方で田母神氏は国会でも自説を曲げず、あくまでも軍隊であるところの自衛隊を志向。日本は侵略国家ではなく、むしろ欧米の植民地政策からアジア諸国を解放したのだと主張。強い自衛隊、武器をバンバン撃てる自衛隊を、と訴えている。そのスジの専門家から聞いたのだが、実はすでにニッポンの軍事力は世界No.2であるらしい。それは防衛費にはカラクリがあるのだ。単年度でみるとGDPの1%となっているわけだが、実は武器は10年ローンで購入しているとか。つまり先取りの形でGDP10%に匹敵するのが現ニッポンの防衛費なのだ。なるほど。イージス艦などは世界の最先端装備で、つい先ほどはミサイル迎撃に成功している。

ニッポンは外的自我と内的自我に分裂していると指摘したのが岸田秀氏であるが、この分裂した国家あるいは解離性障害国家の症状が、今般の田母神論文騒動であると言える。何ゆえここまで騒ぎ立てるのか。真実の回避と抑圧による強迫反復の病理だ。彼の論文があまりレベルが高くないことは明らかだが、それはそれで聞いておけばよいではないか?しかし田母神氏は実に面白いキャラだ。淡々と、憲法を改正してバンバン撃てる自衛隊にすべきとか、退職金も生活が苦しいからいただきます、さらりと述べるあたり、私的には好感の持てる人だ。マスコミは偏向した意見だとか叩くが、実は政治家や学者の中にも同様の立場の人はかなりいるし、自衛隊の内部では普通の意見とか。メッセージでも語ったが、精神病院では患者が医師を診断するようになる。同じく、クロがシロで、シロがクロで、倒錯が正常で、正常が倒錯な、ひっくり返った世界がニッポン社会。

「カワイイ」の追求と「ツヨサ」の追求。村上氏と田母神氏を対話させたら果たしていかなることに相成るだろうか^^引き裂かれし国家ニッポンの病理を象徴するおふたり。どちらも、どっちが正常でどっちが倒錯か分からなくなった世界。ニッポンキリスト教ではすでに倒錯が正常で、正常が倒錯となっているわけだが、この解離性症状について考えれば考えるほどワケワカメになるわけで・・・。はたしてニッポンの明日はどっちだ??????

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