Entry

トップ > 科学 > 核融合の可能性

核融合の可能性

このところ荒田阪大名誉教授の「固体内核融合」とか、さらには今回アメリカで高校生オルソン君が自前の核融合炉を作ってしまったとか!?(→記事)。いずれも重水素DによるD-D反応と呼ばれるもの。普通の水素Hは陽子(p)1個の核に、電子(e)が1個であるが、重水素は陽子1個に中性子(n)1個の核に電子が1個である。中性子は電荷はないため、電気的にはHと同じ。このDとDが核融合すると

 D + D → 3He + n

と言う反応が起きる。普通のヘリウムHeはpが2個とnが2個の核とeが2個だが、ヘリウム3はpが2個、nが1個の同位体。2個のDにはpが2個、nが2個あるが、1個のnが飛び出して、3He核ができるわけ。この時質量欠損Δmが生じるが、アインシュタインのE=mc^2(山口百恵の歌にもあったが)にしたがって、ΔE=Δmc^2のエネルギーが放出する。ちなみにc=299,793,000m/s。

オルソン君は2億度の温度で成功したらしいが、荒田先生のはまったくの常温。鍵はパウダーにあるらしいのだが、nが出ないとおっしゃっているのが不思議。それともnは吸収されてしまうのだろうか?

片やプラズマに閉じ込める方法では数百億円のカネをかけているようだから、そこに携わる研究者からすると、荒田氏やオルソン君の成果はちょっと受け入れるわけにはいかないだろう。いずれにしろ、追試による再現性の検証とデータの積み重ねが重要となる。今の段階であまり騒いで、まずいデータが出ると一挙に潰されてしまう事態もあり得るからだ。

しかし高温超伝導(と言っても零下200数十度の世界だが)も実現しているわけだから低温核融合もあってもいい、とどこかにあったが、これも「コロンブスの卵」なのだろうか。
 
追記:うん?それとも4He核(2p+2n)ができるわけ?これなら中性子線はまったくでませんね。これならまさにクリーンな夢のエネルギーですよ。

Access: /Yesterday: /Today: