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Dr.Lukeの一言映画評

ファイル 793-1.jpg今般の金融危機を予言したような作品『ザ・バンク-落ちた巨像-』。メガバンクの裏取引を捜査する、やや荒んだインターポール捜査官サリンジャーのアクション物。クライブ・オーウェンはこの手のやや裏切られ、人生を捨てた人物の役が似合う。『トゥモローワールド』でも似たプロファイルの人物を演じているが、やや田村正和かも。しかしながらこの手の役者は、若い頃は単に二枚目で、単なるミネラルウォーターのように苦味も渋みもないのだが、中年以降ひじょうにイイ味を出す。私的にはけっこう好みの俳優だ。特にやや絶望を見つめ、やや悲しみを漂わした目がイイ。

ファイル 793-2.jpgこの映画、実話を元に書かれた小説による。映画ではIBCCとなっているが、過去に現存し、スキャンダルで破綻したBCCIというイスラム系の銀行がモデルだ。ドキュメンター本も出ている。

BCCI(Bank of Credit and Commerce Internationalの略)

 パキスタン系のイスラム銀行で、ルクセンブルグ籍
 1972年、貧民救済を目的に掲げ設立。以後70カ国以上の国々に進出し、国際的な業務を行ってきた
 一方で、フィリピンのマルコス大統領や、パナマのノリエガ将軍などの独裁者、ビン・ラディン一族などの不正蓄財の舞台となり、イスラム諸国の大量破壊兵器開発の資金源ともなり、さらにはCIAのアフガニスタン作戦での資金仲介などを行ったとされる
 1991年経営破綻し、総額100億ドル近い預金詐欺事件に発展。邦銀や日本企業にも多額の損害が発生した

世界金融を支配する原則は単純。要するに戦争でどちらが勝つかは問題ではない、しばしば金融資本は両建てされて、"投資"されている。ポイントはどちらにせよ負債を負わせること。これですべてを支配できる。実はそもそも、政府と中央銀行の関係がそれ。中銀が貨幣の発行権を有する限り、政府は国債を発行して、その見返りに貨幣を流してもらう。前にも言ったが、中銀のB/Sにおいては貨幣は右、つまり貸し方に来る。要するに中銀にとっては負債なのだ。その左(資産)にはバランスするだけの国債がくる。かつてはゴールドが左に来たのだが、今やそのリンクはない。つまり貨幣の価値は、国家の発行する国債によって担保される。国債自体は紙切れ。信用なのだ。もっと言えば、信仰の問題なのだ(これ以上は昨年のバビロン・シリーズのメッセージを参照してもらいたい)。

注・現在の日銀の紙幣発行残高は76兆程度(→20年度財務諸表)。総資産113兆(内資本金1億)。要するに自己資本がほぼゼロで、普通の企業ではあり得ないのです。しかるにニッポンの個人資産は1,400兆。信用創造で膨らんでいるわけ。

そこで60年代にケネディが政府紙幣の発行を目論んで暗殺され、今般、わが国でも検討されている。これで政府は中銀に対して負債を負わずに紙幣を発行できるわけだが、ではその価値の根拠は?まあ、中銀を介さないで直接的な国家の信用になるわけで、貨幣価値の下落のリスクも負う。今世界の流れはゼロ金利時代を迎えて、かつてのニッポンのように量的緩和策(≒信用緩和策)。これはB/Sの右の市中銀行の当座預金にジャブジャブと現ナマを積む策。もちろんそれに見合うだけ左に国債など積む必要がある。こうして中銀の総資産は増加する。が、それは所詮幻想。金融とはすなわち共同幻想に基づいている。

かくして今般、その幻想が(当たり前のこととして)壊れたわけで、30兆の資産を持つメガ・メガ・バンクすら破綻した。ニッポンの3メガ・バンクも今回赤字転落(→記事)。こうして人類は自作自演の共同幻想を作っては、壊し、希望と絶望の間を絶えず揺れ動く。しかして、真の価値の根源にして、決して揺れ動くことのないまことの資産とは・・・・?

彼ら(祭司)は嗣業を持たない。わたしが彼らの嗣業である。あなたたちはイスラエルにおいて彼らに財産を与えてはならない。わたしが彼らの財産である。

Comment

zion

教会債、、
うわっ嫌なもの連想しちゃった。。。

  • 2009/04/04 19:24
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zion

  • 2009/04/04 22:28
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