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Dr.Lukeの一言映画評

ファイル 911-1.jpg朝はジョギング、午前中はプールとサウナ。午後は映画と巡航スタイル。

ハゲタカ』。ニッポンを代表するカーメーカー・アカマに中国政府筋のファンドの「赤いハゲタカ」こと謎の男劉一華(リュウ・イーファ)が敵対的TOBをしかける。表向きは友好的だが、実質は乗っ取り。ニッポンの技術だけを盗み取るの目的。それを察知したアカマ側は伝説のファンドマネージャー鷲津に対抗策を依頼。が、相手は20兆の資金を持つ国家的ファンド。かくして鷲津の形勢は絶望的。アカマの社長自身が劉に鞍替えする。そこで鷲津が取った策略とは。誰が真にアカマを愛していたのか、最後に明らかになる悲しき真実。映像もシナリオもなかなか見応えがある。昨年来のバブル崩壊に対応する形で80%シナリオを書き換えて、リアルの事象とうまくリンクさせてある。

昨今の会社は株主の物とする風潮(ここにハゲタカの生まれる根拠がある)は日本人には無理があることは前から指摘している。なぜなら埋没型アイデンティティのニッポン人にとっての会社は、それを養うための培地であり、人生の舞台そのものだからだ。帰属意識(Sense of Belonging)、安全(Security)、そして自尊心(Self-worth)の3Sを獲得し、育て、完成させる場であって、これを欠いた職場はニッポンではいずれ崩壊する。現にグローバルスタンダードで踊らされた会社は疲弊し、人間を大事に育て、保護し、仕事に生きがいを見出し得る会社は伸びている。これも人間は理屈の動物ではなく、情緒のそれであることの証明である。

ファイル 911-2.jpgそれにしてもことここに至り、年収300円未満の人が1,200万人、労働者(5,500万人)の1/3が非正規雇用、失業率4.8%(270万人)、この現実はニッポン人にとっては、あまりにも重い。無駄を排除した結果が現状なのだ。しかし前にも書いたが「パレートの8:2の法則」と言うものがある。ファイル 911-3.jpgつまり組織において真に有効な仕事をするのは20%、あとは遊びの部分(無駄)。しかしこの遊びの部分がないと20%も生きない。この20%は厚遇しつつ、残りは適度にやらせておくこと。つまり人が生きるためには無駄のある組織が必要なのだ。20%だけに削った組織はいずれ先鋭化して、疲弊して、崩壊に至る。

実はこれは信仰でも言える。無駄のない、あるいは遊びのない信仰生活は早晩窒息状態に至るのだ。と言っても、Dr.Lukeは遊びすぎているかもしれないが・・・・。

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