Entry

トップ > 意見 > キムタクに一言

キムタクに一言

ファイル 921-1.jpgTBSの"MR.BRAIN"が面白い。大学の講義でも学生に薦めている。脳科学の入門としてはトッツキがイイ。今回の仲間由紀恵演じる解離性同一性障害(いわゆる多重人格)もストーリー的には楽しめた。虐待を受けて15年を闇で過ごした悲劇の少女が果たして本当の解離性同一性障害か、演技なのか。脳科学者九十九は非情な罠を仕掛ける。自身も、外れてくれ、と祈りつつ。が、・・・。

・・・しかしですよ、小学生として誘拐され、闇の中で15年過ごした女性が、何ゆえに解離性同一性障害の知識を得、さらにそれを演じることができるわけ?そもそもこの障害の定義自体がこの10年間で変遷しているのだ。

80年代、米国精神医学会のDSM-Ⅲ(82年)には「解離性同一性障害」なる用語はなく「多重人格」だ。事実、宮崎勤の精神鑑定では3つに別れたが(いまだに学会でも遺恨が残るほど)、そのひとつが「多重人格」だった。87年のDSM-Ⅲ-Rでも「多重人格障害(Multiple Personalty Disorder)」とされており、94年のDSM-IVにおいて「解離性同一性(Identity)障害」と定義された。つまり傷害されているのは人格ではなく、アイデンティティであるとされたわけだ。

・・・と、いったツッコミをして、家族から顰蹙を買っているのだが、まあ、ヤボなことはやめて、単純に楽しむことにしよう。キムタクは何をやっても田村正和的にカッコよすぎで気に入らないのだが、ファイル 921-2.jpgでも楽しめるわけで、私自身も微妙にジェラシーの入り混じった感情で、アンビバレンツな状態を呈し、いわば自我のスプリットが起きているのだ。

ちなみに多重人格を扱った作品としてエドワード・ノートンの『真実の行方』が最高。この作品でデビューしたノートンの演技は実にすごい。こういった被告人を果たして裁判員たちはどう裁くことができるのだろうか。
(正確にはリチャード・ギアの、でした。それほどにノートンの印象が強い作品でした。)

Access: /Yesterday: /Today: