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訃報:土居健郎氏死去

ファイル 933-1.jpg5日午後3時27分、元東大教授の同氏が死去されたとのこと(→記事)。名著『甘えの構造』で一世を風靡された。神経症から学生運動などの社会現象も「甘え」をキーワードとして解けるとされた。この単語は欧米語にはなく、バリントが「受動的対象愛」なるもってまわった言い方をしているくらいである。日本人の精神病理は日本語で解き明かすべしとされ、「気」の概念をめぐって、日本人の「気を遣う」とか「気になる」といった「こだわり」の心性を解明した。心とことばは同じ事象の裏と表とも言えるわけだ。

ご自身もクリスチャンであり、『聖書と甘え』などの書も書いておられた。私もはるか昔、数回講義を拝聴したことがある。気難しい顔をされており、当時流行していた京大カードをめくりつつの講義はボソボソしており、はっきり言うと、何を言っているのかよく分からなかった次第(こちらのオツムがついていけなかったのかもしれないが)。それにしても、ひとりまた一人とトコロテンのように押し出されて逝かれる。享年89歳、ご冥福を。

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