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本日の二冊

ファイル 273-1.jpgファイル 273-2.jpgリチャード・ヴェルナーの『円の支配者』と『不景気が終わらない本当の理由』(共に草思社)。90年代のバブル崩壊後、何ゆえに日本経済が回復していないかの理由を日銀の紙幣供給不足による信用創造の失敗であると断じる。中でも福井前総裁の責任を厳しく追及しており、同氏はバブルの真犯人であるにも関わらず、その責を問われるとことなく、バブル崩壊後に30年前の取り決めによって総裁の座についたと言う。かくして国民の管理下から離れたところで決定される日銀総裁の特殊性を指摘しつつ、日銀による2000年代に入ってからの経済運営を批判する。
続き
ヴェルナー氏の経済活性化の処方箋は次のとおり:

    • 政府は国債による資金調達ではなく、銀行からの融資で行う。これで信用創造が伸びる。
    • 日銀が債券の購入などにより資金を提供し、信用創造を拡大する。
    • 不良債権は日銀が額面価格で購入する。これで日銀のB/Sは強くなり、資金も供給できる。
    • 日銀法を改正し、GDPの3%成長を日銀の目標とし、達成できない場合は罰則を科する。

ところが福井前総裁はこれらを実施しなかったばかりか、逆に失業率を8%、倒産を2002年現在以上にするとヴェルナー氏に語ったとのこと。かくして日本経済は日銀総裁と言うエリートたちによってずたずたにされているわけだ。ロスチャイルドは「貨幣を刷る権利を得たらいかなる法律ができようとかまわない」と言ったそうだが、FRBにしろ、日銀にしろ、中央銀行と言う装置が国民のために機能していない。では、誰の益を第一としているのか?ここを突き詰める必要があるかもしれないし、ここに触れるとFRBの権力と戦ったJ.F.ケネディの運命を辿るかも知れないのだ・・・。

基本的には私が感じていることを経済学の専門家として裏付けてくれているし、ベンジャミン・フルフォード氏の主張とも合致する。ベンジャミン氏がジャーナリスト出身なので、やや筆が走るのに対して、ヴェルナー氏は学者である故に、筆運びは重厚である。実は私もヴェルナー氏からは"ある事"を聞いているのだが、ここでは述べることができない。ややヤバイ情報だから・・・。

【注】日銀発行券残高は91年の32兆円から06年の74兆円へ、また日銀のB/Sも96年62兆円から06年116兆円と約2倍に伸びている。06年のB/Sは

金    0.4兆 |発行銀行券 80兆円
貸出金 22兆 |当座預金  10兆円 
国債  80兆  |
  ・・・      |・・・
------------------
借方 116兆円|  貸方  116兆円

要するに国債を引き受けて資産とし、それにつりあう分のマネーを刷っているわけで、この国債が日本の信用力によって資産価値を持っているうちはいいのだが、この担保価値がなくなるとき、はたして・・・。ヴェルナー氏はこの資産内容が問題とし、不良債権を額面で買い取ればよいとする。

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