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百聞は一見にしかず

ファイル 829-1.jpg今回のウイルスは1918年に世界人口(当時18億)の30%が感染し、4000万から1億人が死亡したとされるスペイン風邪のウイルスに、豚と鳥とのウイルスのDNAが複合したものらしい。要するに4種類のDNAのコンプレックス。どこでどう混ざり合ったのか。ちなみにウイットネス・リーのローカルチャーチでは、神と人が混ざり合って(mingling)人は神格を持たない神になるのだ(→神の究極の奥義)。それは「神・人(God-man)」、すなわち神と人のハイブリッド。しかし聖書のどこに書いているのだろうか(苦笑)

追記:タミフル耐性ウイルス出現のリスクが高まっているようです(→記事)。

で、人は面白いもので、文章からイメージを構成することはとても苦労するが、逆はきわめて楽なのだ。昨日はタミフルの分子構造を見てもらったが、今回はウイルスのタンパク構造の一部を見てもらおう(→PDB)。これはノイロミダーゼの立体構造で、これが微妙に形を変えるのだ(画面上でマウスをドラッグしてみてください)。抗ウイルス薬はこの働きを阻害するのだが、ミクロの世界でこの攻防戦が展開しているわけ。

ちなみに昨日のフレッシュセミナーの講義模様。最近では大学教員もクラス担任をさせられており、30名ほどのクラスを受け持っている。内容はまったく自由なのだが、一応社会一般教養を身につけさせるのが目的。これはけっこう楽しくできるわけで、私は日本の経済の流れを伝授している。89年か90年に生まれた彼らはバブルを知らず、失われた90年代に育ってきたわけで、自分の歴史を振り返らせつつ、その間の経済について私の好みのエコノミスト、リチャード・クー氏の解説に沿って数字を見せながら話しているのだが、これがなんとも通じない。
続き
そこで「百聞は一見にしかず」とばかり、広末涼子の『バブルへGO』を見せることにした。なんとこの作戦がピッタリはまった。バブル当時のワンレンボディコン・ファッションに女子学生は「ついていけなーい」と、「えー、ケータイもないの!?」と。駅ではカチカチと切符切り、これも意味不明。待ち合わせは「着いたら電話するね」と言うわけで、当時との違いは眉毛の太さだけではなく、「はんぱない」のだ(←これも意味不明の最近の若者言葉、多分「じゃ」抜け)。

そしてついに彼らもニッポンの真実に目覚めつつある。国の借金850兆、人口は減少の一途。年金は崩壊、1,500兆の個人資産はアメリカにむしられて、自分たちには果たしてどんな老後が待つのか、と。「この借金返すの、だれ?・・・君たちだよ」、「ええっ、そんなのゼッタイ無理ジャン!」と。まあ、究極の経済対策は50年に一度のジュビリー。つまりは徳政令。と、あるジャーナリストもその講演会で語っておりましたが・・・。

かくして目に訴える講義は目先は成功したものの、活字を読まない彼らの思考力はますます減退することでしょう。百聞は一見にしかず。さて、この方式、果たしていいのか悪いのか、とやや疑問を感じつつ講義している次第。

Comment

Isaiah Ben Hur

「神格を持たない神」って一体何なのですかね。そのまま平行移動すると「人格を持たない人」ってことと同じになると思いますが。これって意味を持ちますか?

  • 2009/05/02 18:20
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Luke

はい、このナンセンスな教えを神の最終啓示として、純粋かつ大真面目にそれに邁進する彼らは怖いわけです。ただしこれはローカルチャーチに限らず、ニッポンキリスト教においても普遍的な傾向のようですが。

  • 2009/05/02 21:06
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Salt

リチャード・クーがテキストですか。

経済学にはそれほど明るくない私ですが、彼が奈良に来たときはわざわざ聴きに行ったくらいです。

無駄に思える公共工事には、実は物凄い意味があるのだなど、興味深い話でした。

しかし、Dr.Lukeの講座はそれ以上に面白そうですね。

  • 2009/05/03 22:54
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  • 2009/05/04 00:54
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zion

クー氏の連載一気に読みました。
失われた10年を整理できるいい記事ですね。

  • 2009/05/04 09:36
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