天意啓愁眉
まずは漱石の臨終20日前に詠じた詩-
眞蹤(しんしょう)は 寂莫として杳(よう)として尋ね難く
虚懷を抱かんと欲して 古今を歩む
碧水碧山 何ぞ我れ有らん
蓋天蓋地 是れ無心
依稀(いき)たる暮色 月は草を離れ
錯落(さくらく)たる秋聲 風は林に在り
眼耳 雙(ふた)つながら 忘れ 身亦た失はれ
空中に 獨り唱す 白雲の吟を
虚懷を抱かんと欲して 古今を歩む
碧水碧山 何ぞ我れ有らん
蓋天蓋地 是れ無心
依稀(いき)たる暮色 月は草を離れ
錯落(さくらく)たる秋聲 風は林に在り
眼耳 雙(ふた)つながら 忘れ 身亦た失はれ
空中に 獨り唱す 白雲の吟を
眞蹤=真理
麗しい朝のジョッギング、何とも歓極まる時間だ。蓮の葉が池を満たし、鶯は群れる諸鳥の中で友を探す。極楽はあの世のものでもなく、歓喜もどこにでも見出せる。俗世と隔絶されるとき、天の意は愁眉を啓くのだ。それは確かに漱石の詩にあるように身体と魂が離れる体験とも言える。が、さらに霊と魂が分離されると、魂の状態によらず霊は臨在の中で漂い、神の懐中でただ歓びに溢れるのだ・・・。
(七絶・平起式・上平四支韻)
天意 愁眉を啓く
麗朝 碧蓮 清池を満たす
林鳥 群翔 友を求るの鸝(り)
極楽 寛愉 千樹の裏
絶塵 天意 愁眉を啓く
麗朝 碧蓮 清池を満たす
林鳥 群翔 友を求るの鸝(り)
極楽 寛愉 千樹の裏
絶塵 天意 愁眉を啓く
■参考:霊と魂の分離について
(C)唐沢治
電気屋
この漢詩は素晴らしいですし、深いです。