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売茶偶成-売茶翁

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僧に非ず 道に非ず 又た儒に非ず
黒面白鬚(こくめんはくしゅ)の窮禿奴(きゅうとくぬ)
孰(たれ)か謂ふ 金城に周(あまね)く売弄(ばいろう)すと
乾坤(けんこん)都(すべ)て是れ一茶壺(いちちゃこ)

わしは僧籍でも、道士でも、儒者でもないわ
浅黒い顔、白いひげの貧しい禿げおやじにすぎぬ
人々はわしが都中に売り歩いていると噂しておるが
なんの、この世界はみなひとつの茶壷にすぎぬのじゃ

今朝の日経紙で紹介されていたのでちょっと調べると、なかなか小生の嗜好にフィットする。人々からは売茶翁(ばいさおう)と呼ばれた禅僧(黄檗宗)、当時の檀家からの揚がり(お布施)で当たり前のように暮らす仏教界を批判し、「仏弟子の世に居るや、その命の正邪は心に在り。事跡には在らず。そも、袈裟の仏徳を誇って、世人の喜捨を煩わせるのは、私の持する志とは異なっているのだ」と自らで茶を売って生計を立てつつ、人々との日常生活での交流により禅を説いた。漢詩も詠み、高遊外と号した。1675年生まれ、11歳で出家し、70歳で還俗、1763年没。享年87歳。

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