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大石内蔵助

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お家断絶の時、約300人の家臣がおり、彼らは城明け渡しに際して、幕府と戦って討ち死にする、とかの勢いの良いことを叫んでいた。しかし大石は人の心を知っていた。彼は浪人となった後、撞木町で遊び呆けた。若いお軽を側におき、彼女を愛した。これは吉良方を油断させるためとも言われているが、実は自分の家臣を絞るためだった。300人は不要。真に心のある者だけでよい。

ある家臣はそれをなじり、大石は昼行灯の役立たずと罵倒した。ある者は裏切られたと感じ、彼の元を去った。人の心を知る大石自身も、「亡き殿に命を捧げる」とする血判状をあえて一人ひとりに返却し、それを喜んで受け取る者はどんどん去らせた。浪人となった家臣たちにもそれぞれの生活と人生ができてきたのだ。ある者は恋に落ち、それを優先した。ある者は別の仕官の道が開けた。それぞれ事情はあったろう。大石は彼らを蔑視することはしなかった。むしろ憐れんだのだ。
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