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本日の一冊

ファイル 503-1.jpg現代ニッポンの碩学渡辺昇一氏による『「パル判決書」の真実』(PHP研究所)。戦後のニッポンの命運を決定した東京裁判が、国際法から見ていかに茶番であったか、パル判事の判決文を詳細に読みこなしつつ解説する。パル判事については前にも触れた(→記事)。東京裁判が事後法による「勝者による裁き」だったことはよく言われているが、何と裁判の法源がマッカーサーの「チャーター」によるものだった。つまりマッカーサーによる即席の「極東軍事裁判所条例」に基づいていた。しかも後ほど(1951年)、マッカーサーは自ら公式の場で「したがって彼ら(日本人)が戦争に入った目的は、主として自衛のために余儀なくされたものである」と証言しているのだ!つまり国際法に根拠のない自作の「極東軍事裁判」の"判決"を、自ら否定しているのだ。自己欺瞞を抱えた国家アメリカの分裂した自我の症状である。

そもそもパルは勝者も裁かれるべきであるとして、例えば市民への原爆投下の責任を問うている。もちろんアメリカはホオカムリなわけだが。かくして唯一法源が明確である正統な判決はパル判決であるとする。つまり「すべての罪状は無罪」!ところがWGIP(War Guilty Information Program)によって、自虐的方向へとMCされている戦後ニッポン人は、正邪の識別力を放棄し、さらにはそのアイデンティティをも喪失して、クラゲの如く浮遊するだけだが、そのルーツが東京裁判であると渡辺氏は指摘する。するとニッポンキリスト教の病理もここにあるかも・・・。要するに私の言うアメリカによる<政治的去勢>→<軍事的去勢>→<経済的去勢>の結果である。

結論として、渡辺氏は、真にニッポンが自立国家となり得るためには、東京裁判史観からパル判決史観へと脱皮する必要があると指摘する。なるほど。歴史・政治オンチの私にも納得できる主張である。

ちなみにこのマッカーサー証言は小堀桂一郎氏の提供によるものだとのこと。小堀氏については前にも触れたが(→記事)、実は私が駒場時代にドイツ語を習った先生なのだ。いやあ、懐かしいお名前。現在までマッカーサー証言はマスコミでもほとんど扱われていないが、これは戦後20万人にのぼる人々が公職追放され、その後釜に座ったいわゆるサヨク連中がアメリカの逆鱗に触れることを恐れたため、と氏は指摘する。このニッポンもアメリカの病理が伝染した形で、自我の分裂状態にあるが、まさにサヨクの欺瞞はその表の病理であろう。(私の史観は精神病理史観であることを繰り返しになるが断っておく。)

嗚呼、かくして安倍氏も、福田氏も、日本男児の魂を喪失して、この体たらくなわけだ・・・。この国、やはり一度徹底的にダメになる必要があるでしょう。ニッポンキリスト教も一緒に・・・。

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