本日の一冊
- 2008/11/21 22:30
- Category: 書籍
岩波明著『狂気の偽装-精神科医の臨床報告-』(新潮社)。この人の本『狂気の隣人』はすでに一冊紹介してある(→こちら)。精神医療の臨床の現場が今おかしくなりつつあることを臨場感を持って報告している。最近では「アダルト・チルドレン」、「トラウマ」、「PTSD」などの専門用語を乱用する傾向があり、同時に患者の方も自らの心の病や心の傷を誇らしげに他人に語ることさえも一般化しつつある。これにはインターネットの普及が大きく関連している。彼の患者の何と半数以上が自分のサイトを開いて、自分の病気振りを公開していたとのこと。かくしてネットではビョウキが当たり前の世界になりつつあるわけ。しかし岩波氏の言葉で言えば、所詮「彼らは病気なのだ」。
同氏は、昨今の、おかしな人々、狂気を偽装する人々を次の10パタンに分けている:
・偽りのPTSD
・トラウマ狂い
・うつ病の黒い犬
・恐るべき子供たち
・オン・ザ・ボーダー
・自傷系・自殺系
・殺人精神病
・アルファ系衛星の氏族たち
・物質関連障害
・困った人々・故障した脳
私もカナリ以前から「ヒーリング・ブームの落とし穴」と警鐘を発し、同時に「律法は罪の力、ネットは病者の力」と指摘している。特にニッポンキリスト教では「真綿ぐるみ」で病者を増長させる傾向が強い。最近でもある研究会の会誌に、欝病者がいわゆる「福音主義」の問題を告発する記事をモノしていた。彼らを基準にして福音主義の問題を論じてどうするのって、私などは思う次第だが、これがニッポンキリスト教の悲惨な現状である。
ニッポン社会もニッポンキリスト教も、お互いに合せ鏡になっており、その病理を互いに反映しつつ、倒錯が進行していることは間違いない。おそらく今後ニッポンキリスト教はその病理性をますます露わにし、悲惨な病状を呈することであろう。社会とシンクロしつつ。本書は今後の10年、20年を占うであろう判断資料を提供してくれる。
松田
いわゆる疾病利得というやつですよね。この点、医者も患者ももちつもたれつでして、いっしゅのなれあい共同体を形成していると思います。役割はちがうけど、目的(金)は同じということで。
精神病は今日において医者にとっても患者にとっても職業であることには変わりがない。いきすぎた社会精神医学の影響の見直しは世界的傾向です。
そのニッポンキリスト教というのは、教団(日基)のことですか?それでも、まだ教団系の方が養成課程がちゃんとしてるからましではないですか。独立系の教会なんて、どんな人が牧師やってるかわかったもんじゃないですよね。怖いです。
ウェスレーなんて、日記読むと、囚人や自分の信徒にまで、おかしいのには電気ショック掛けまくってますから。よく効くといって。だらしないのはクビだし。めちゃ厳しいんですよね。アメリカいって全然違う教派になったと思います。