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本日の一冊

ファイル 905-1.jpg山崎豊子の待望の大作『運命の人』(全4巻、文藝春秋)。ここでも前に紹介したが、佐藤内閣の頃、沖縄返還交渉において、土地の現状回復費用400万㌦を日本側が供出するも、表向きはアメリカが支出したことにするという秘密交渉をスクープした毎日新聞記者西山太吉氏をモデルとする作品。

西山氏はこの機密文書を社会党議員に漏洩。政府は国会で追求されることになる。が、政府側はその文書を入手する過程において、西山氏は外務省の女性事務官と肉体関係を持ち、彼女をして情報漏えいせしめたとして西山氏と事務官を告発、両氏は逮捕される。これにより形勢は逆転。毎日新聞は倫理的に世間からのバッシングを受け、ついに日米秘密交渉そのものの追求については世間の関心から消える。かくして毎日新聞自身も不買運動により、オイルショックの影響もあり、実質的に倒産。その後、先に紹介した創価学会と共産党の協力路線を支持し、『聖教新聞』の印刷を請負い、ようやく再建を果たす。ちなみにこの創共協調路線のお膳立てをしたのは、何を隠そうあの松本清張なのだ。
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