本日の一冊
- 2008/10/31 21:39
- Category: 書籍
『アメリカの宗教右派』(中公新書)。アメリカの政治的流れに聖書解釈や神学が大きく関わっている事は最近とみに明確になってきたが、19-20世紀の政治とアメリカキリスト教の流れの関連性をきわめてコンパクトに分かり易くまとめている。
恐慌前、古典的自由主義を掲げ、小さな、干渉しない、放置主義的政府のあり方を志向した共和党の失政で世界恐慌を招き、民主党のルーズベルトが、積極的に経済に干渉するケンジアン政策によって恐慌を抜け、戦後、70年代後半からハイエクの新自由主義とフリードマンのマネタリストの実現であるレーガノミクスで再び共和党が盛り返し、その挙句が今回のクラッシュで、再び民主党が・・・と言った政治の波が30年周期で繰り返すと解説する。その間に、メインラインと福音主義、さらに原理主義やペンテコステ・カリスマ派、そしてメガチャーチの隆盛と後退が起きているわけで、その動きと政治・経済・社会の関わりを、多分ノンクリスチャンであろうが、正確に解き明かしている。
再建主義の富井さんが、政教分離は幻想であると述べているが、これはまさにそのとおりだろう。多かれ少なかれ、人の心に霊的要素がそもそも潜んでいるわけで、いわゆる哲学や思想なども霊的要素から離れて論じることはできない。むしろ今後、バビロン化が勧めば、霊的要因と経済がさらに密接に関係してくるだろう。近代国家・科学万能国家アメリカの深層に流れるものは、建国以来実は変わっていないし、当時のヨーロッパの霊的流れと無関係ではない。つまりNW誌が指摘するとおり、アメリカは基本的に保守的右寄り国家なのだ。オバマもこの辺を読み違えて、左に寄ると一挙にしっぺ返しを食らう可能性もあるわけだ。アイオーンの潮流が大きく変わりつつある今、次にどんな主義・思想が生まれるのだろうか。案外すでに起きた事の焼き直しであるかも知れないのだ。
見よ、これこそ新しい、と言ってみても/それもまた、永遠の昔からあり/この時代の前にもあった。
zion
公安にストーカーされる副島氏。
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