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本日の一冊

ファイル 992-1.jpgものすごくしばらく振りで新宿は紀伊国屋で購入。『「東京裁判」を読む』(日本経済新聞社)。東京裁判についてはかなりエキセントリックな議論から、単純にすべてはアメリカの言うとおりとする姿勢まで、実に多岐多様な反応がある。しかるに裁判の原資料自体は国立公文書館に封印され、その膨大さゆえにほとんど一般には公開されていなかった。「A級極東国際軍事裁判記録」は6,000件、文書枚数で58,000枚。300ページの書籍200冊に相当する。このほかにBC級裁判資料もあるわけだ。

この膨大な文書の中から本質的なものを読み込んで、対談形式で解説している。内容としては

 序章 歴史の書庫としての東京裁判
 第1章 基本文書を読む
 第2章 検察側立証を読む
 第3章 弁護側立証を読む
 第4章 個人弁護と最終論告・弁論を読む
 第5章 判決を読む
 第6章 裁判文書余録

この各章末に「鼎談」がある。

最後の余禄では新発見された東條英機の手記や日記も紹介されているが、彼は国民を愚弄し、敗戦の責はやる気のない国民にアリと主張しているようだ。また巣鴨プリズンではかなりの豪華な食事が振るまわれていたようで、嶋田繁太郎日記にはほとんど食べ物の記録だけだったとのこと。

指導者を誤るとそのツケは国民に回るわけだが、さて、来る「8・30決戦」は今後のニッポンの命運をいかに定めることになるのだろうか。かつてドイツのヴァイツゼッカーは言った、「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる」と。かなりのボリュームの本書、夏休みにじっくりと味わっておこう。

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