Dr.Lukeの一言映画評
- 2014/05/03 21:15
- Category: 映画
このところ『テルマエ・ロマエⅡ』などいろいろ観ているのだが、あえて書くまでもないか思っていたら、本日の作品は実に深い・・・。いわゆるキリスト教徒が陥る真実を描き出している。神に怒り、神を呪い、神と戦う者たち。それは自らの運命に引きずり込む、まさにあの者の霊によって憑かれた"信仰者"の運命。これはきわめて現代的なテーマであり、今後、キリスト教徒、それも敬虔で、神に献身し、熱心かつ従順な"信仰者"たちがまさにこの罠に堕ちるであろうプロフェティクな作品。
主演は私のfavoriteなヒュー・ジャックマン。彼は『X-men』などもイイが、こういったシリアスなテーマを演じるにも耐える役者だ。作品は『プリズナーズ』。
アメリカ国民の誰しもが愛する家族と幸せなひとときを過ごす感謝祭の日、幼い少女が消えた。平穏な田舎町に突如訪れた惨劇。手がかりは少なく、警察の捜査は錯綜する。そんな中、父親は、証拠不十分で釈放された第一容疑者の証言から犯人を確信する。残された時間は少ない。「パパはどうして助けに来てくれないの?」愛する娘の叫びを心に聞いた父は、自力で我が子を助け出すため、決して超えてはいけない一線を超える決断をするのだが……。
ある種、『ポセイドン・アドベンチャー』とかぶるモチーフだ。全能の神は助けない、自分でする他ない。神はなおも捧げ物の血を必要とするのだ。何人殺したら気が済むのだ!という絶望的な叫びが聞こえる。しかし真実は意外なところにあり、そこに隠された動機。サタンの意図はあらゆる告発によりキリストの顔に泥を塗り、自らと同じ運命に人間を引きずる込むこと。例えば、キリスト教の働きにしろ、説教にしろ、悪行の告発にしろ、サタンは人間の正義感と熱心さを最も利用するのだ。彼らの根底に有るのは神に対する恨みと憎悪。表面は狡猾に白く塗られている。しかし、この作品にはかろうじて細い救いの道が用意されていると感じたのは私だけであろうか。それも悪に染まった人間により・・・。
人の正義や熱心、そして純粋さは実に怖い・・・・。一応追記しておこう:
人の怒りは、神の義を実現するものではありません。James 1:20